「子どもたちの未来のために私たち(企業、大人)ができること」経営者による意見交換会セミナーレポート:三神氏

掲載日: 2023.1.19

経済産業省、産業技術総合研究所 人間拡張研究センター、キッズデザイン協議会は
次世代を担う子どもたちを育む環境を創出するため、2007年より「経営者による意見交換会」を
継続して開催しています。今年度も12/14にオンラインで実施し、全国から多くの方にご参加いただきました。
残念ながら当日ご視聴いただけなかった方にも内容を共有するべく、当日の内容をレポートとし公開いたします。

講演2 「子どもたちの未来をつむぐエネルギー」

東京ガス株式会社
都市生活研究所 所長
三神彩子氏

■暮らしとエネルギー

東京ガス都市生活研究所は東京ガスが100周年を迎えた1986年に、次の100年に向けて発足したシンクタンクです。「生活者にとって本当に価値のある暮らしは何か」を研究・調査し、発信しています。

ガス事業誕生から今年、150周年を迎えました。「ガスの使い方がわからない」という人のために東京ガスは大正時代、安全に美味しく調理するための料理教室をスタートさせています。その後、LNG(液化天然ガス)の輸入によって暮らしはさらに変化し、現在の暮らしが築かれました。しかし今、私たちは気候変動問題という次の問題に直面し、持続可能な暮らしに向けた取り組みが世界中で始まっています。

三神氏は、「私たちは今、大きな壁に直面しています。便利な生活の一方、化石燃料を使うことで二酸化炭素を排出し、気候変動が進んでしまいます」と現状を危惧し、東京ガスの取り組みを紹介しました。


■学校で省エネ教育実施、実践の定着目指す

都市生活研究所では、消費者の環境に関する意識調査を実施しました。

それによると、約8割の人が「環境配慮は次の世代のために必要」と考えている一方で、行動を起こしている人は少ないのが現状のようです。
環境問題を意識するようになった経験や出来事について聞くと、年代が高いほど「台風や豪雨、猛暑の体験」を挙げ、「昔と違う」と感じ気候変動を実感。反対に10代は「学校での環境に関する授業」が最も多く、教育の重要性を窺い知ることができます。


三神氏は、「関心のある人だけがやっても世の中を変えることは難しいのが現状です。皆さんが同じように取り組むことが重要です。そこで、省エネ教育プログラムを開発、子どもたちに省エネ教育を実施しました」と言い、省エネ行動を社会規範として定着させることが肝要だと訴えます。 2017年から4年間、全国の小中高校約1万名の児童・生徒を対象に省エネ教育を実施したもので、家庭のCO2排出量に与える影響を検証しました。
授業は、1週間に1回、45〜50分を6週間続け、座学だけでなく体験学習(エコ・クッキング)もあります。


その結果、家庭での電気とガスによるCO2排出量を教育前から5%減らすことに成功したといいます。また、行動実践率は教育の前後で21ポイント増加、行動できるようになった子どもの95%が1年後も持続しています。


■キッズデザインと環境配慮

「これからのキッズデザインを考えた時、環境への配慮は外すことができない観点ではないでしょうか。省エネ教育は実証を終え、今度は実装していかなければなりません。多くの方と手を取り合いながら全国に広めていきたいと考えています」

生涯にわたり健康で心豊かな充実した生活を送るためにも、地球環境に配慮した生活を支える地域社会を作らなければなりません。脱炭素型のライフスタイル実現に向け、連携して取り組んでいきたいと三神氏は展望しました。

    
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