すべての子どもに安全でかっこいいヘルメットを~BUNNY-HOP
掲載日: 2024.11.14
株式会社オージーケーカブトの歴史とヘルメット開発の歩み
警視庁のデータによると、自転車死亡事故の64.9%が頭部に致命傷を負っており、ヘルメットを着用している場合と比較して、着用していない場合の致死率は約2.7倍と高くなっているといいます。自転車用ヘルメットの着用はとても重要です。
BUNNY-HOPは第18回キッズデザイン賞の「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン・子ども部門」で優秀賞の経済産業大臣賞を受賞しました。株式会社オージーケーカブト広報チームチームリーダーの柿山昌範さんは開発の経緯をこう語っています。
「弊社はオートバイヘルメット、サイクルヘルメットのメーカーとして生まれ、東大阪に本社と工場があります。チャイルドメットシリーズは1991年から発売しています。道路交通法の改正で子ども用の自転車のヘルメット着用が努力義務になった時期が2008年ですので、そのかなり前から発売しています。おかげさまでシェアを獲得しまして、2010年にはキッズデザイン賞の最優秀賞をいただきました。」
子ども用ヘルメットのマーケット・リーダーである同社はヘルメット着用の重要性についても積極的に情報発信を行なっています。そのなかで、保護者に対するアンケート調査があります。
「子どもの自転車ヘルメットに関わる調査」( 2019年9月/オージーケーカブト調べ)
子どもの自転車用ヘルメット未着用率の現状とその理由
「アンケートから、子どもの自転車用ヘルメットは未だ半分以上がかぶっていないという実態がわかりました。
理由は様々でしたが、私たちはモノで解決できる部分もあると考えています。現在、走行遊具は多様化しており、さらにオリンピックでBMXやスケートボードの人気も高まっています。一番人気はラウンド形状、私たちはお椀型と呼んだりしていますが、この型です。人気がある分、競合他社も同じような製品がたくさんあります。
マーケット・リーダーとしてベンチマークされるようなヘルメットを作りたいと思い、テーマに“徹底した思いやり設計”を掲げて開発に取り組みました。」
受賞作品のBUNNY-HOP。人気のストリートミニマルの定番型
思いやり設計の3つのポイント—「軽さ」「フィット感」「涼しさ」
思いやり設計のポイントは3つです。高い快適性を実現するための、「軽さ」「フィット感」「涼しさ」。
それぞれのこだわりについて、お話いただきました。
「フィット感に関しては、基礎研究として子どもの頭部形状の計測を実施しています。欧米の子どもの頭の形が楕円に近いのに比べ、日本の子どもの頭の形は正円に近いので、ヘルメットの内部形状もそのようにデザインしています。涼しさについては、スポーツサイクルやオートバイ製品で培ったノウハウを活かし、衝撃を吸収する発泡ライナーにエアスルー 構造を採用しています。
溝を掘ってそこから空気が抜ける仕組みがあり、ヘルメット内の温度を下げることができます。フィット感と涼しさを両立するためにインナーパッドにもこだわりました。」
日本の子どもの頭の形状を計測、フィット感と安全性を高めた
老舗ヘルメット・メーカーのノウハウが詰まった快適性向上のためのデザイン
安全性の確保(SGマーク認証取得で信頼性を担保)
最も重要な安全性については、SGマーク認証をとっています。SGマークは製品安全協会が厳しい試験を実施し、試験に合格した製品がマークをつけることができる認証制度です。マークの取得には第三者機関による検査が必要であり、安全性に対して高い信頼性があります。
「デザインにも徹底的にこだわりました。ホールの形状や位置、角度なども細かく設定し、スマートに見えるように工夫しました。子どもたちが自らお気に入りを選べるように10色のカラー展開とし、カラーに合わせてあご紐もコーディネートしました。シンプルなロゴにしているのは、子ども自身でステッカーなどを貼って自分のお気に入りのヘルメットにして積極的にかぶっていただけるようにしたいという思いからです。」
洗練されたデザインのためにホールの形状や位置、角度にもこだわりが
お気に入りのカラーにステッカーなどを貼って自分だけのヘルメットを
すべての子どもにヘルメットを
ヘルメットをかぶらない理由のひとつに価格の問題がありました。これだけの安心・安全装備とデザインにこだわりながら、前モデルより価格を下げて5,000円を切る価格にしているのは驚きです。
必需品であるからこそ、購入しやすい価格にできるよう、開発を続けてきたそうです。
最後に、「キッズデザイン賞をいただけたことで、安全性を始め、ヘルメットをすべての子どもに着用していただけるためのこだわりを、もっと訴求していきたいと思います」と語ってくれました。