自分の目で足で、探して知り学ぶ、安全の心得 ~防犯ウォーキングアプリ「歩いてミイマイ」を活用した地域安全マップ作成活動

掲載日: 2021.12.2

アプリを使って危険な場所見つけ、共有

子どもたちが自ら、自分の住む街で危険な場所や安全について学ぶ。そんな素晴らしい取組が行われています。少子化対策担当大臣賞を受賞した「歩いてミイマイ」は、地域の安全箇所、危険箇所を記録して共有する活動です。開発に携わった、香川大学教育学部准教授の大久保智生さんはこう語ります。
「私は犯罪心理学を専門にしていますが、この活動は犯罪学の理論に基づいて行われています。タブレット上で地域安全マップを作るアプリで、安全・危険箇所の報告機能、安全危険箇所の閲覧機能で成り立っています。また、グループ機能やランキング機能もあります。グループ機能は地域のコミュニティごとに活動ができる仕組み、ランキング機能はグループ内でパフォーマンスを競い合い、どれだけ安全箇所、危険箇所を見つけたかを比較する機能です。昨年は危険箇所のキーワードを学習できるコンテンツも作成しました」。

安全箇所登録機能

安全箇所の登録

危険箇所の登録

環境に着目して危険箇所を考える

教育活動では、事前学習として安全と危険について学びます。 「犯罪を起こしそうな人ってどんな人?と子どもに聞くと、サングラスとマスクをして、黒い服を着て、といったイメージを持つようですが、実際にそんな人はいません。この活動は人に注目するのではなく、環境に注目しましょうというものです。こういう場所では犯罪が起きやすい、こういう場所ではが起きにくい、ということを学びます。危険な箇所は見えにくくて入りやすい、安全な箇所は見えやすくて入りにくい、といったキーワードに基づいてフィールドワークを行ないます。学生たちが子どもと一緒に活動して、アプリを利用して危険箇所、安全箇所を登録、事後学習で集めた情報を共有して発表するといった活動です」。
安全、危険箇所の登録のために、まず写真を撮ります。アプリ上でボタンをタップすると、安全、危険のキーワードが出てきてそれにチェックを入れ、この場所はこうだった、といったコメントを入れます。登録すると赤い旗が危険、青い旗は安全、といった形で見られるようになります。他人が登録した情報も共有して確認することができ、キーワード、投稿者、写真、コメントが閲覧できます。マスコットのギャラクターの名前が「ミイくん」と「マイちゃん」で、彼らがコンテンツを教えてくれます。

防犯活動を通じ、さまざまな交流を促す

「学習コンテンツでは、危険な場所を表すキーワードを覚えてもらうために、例えば塀の高い道と塀の低い道を比較します。見えやすい場所は犯罪が起きにくいため、塀の高い道の方が危険、塀の低い道の方が安全であることを学びます。誤解されがちですが、実は塀が低くて見通しが良い方が周りから見られている感覚があって犯罪を防ぎやすいのです。学習コンテンツはアプリ上だけではなく、時間がある場合にはワークブックでも学べます。事前学習をした後にひとつのグループに必ず一人大学生がついてフィールドワークに出ます。大学生が授業を担当し、学生たちの学びにもなるのもこの活動の特徴です。事後学習においても大学生が関わり、子どもたちに見つけた安全や危険箇所を発表してもらい、共通認識を形成していきます」。
従来は4時間ほどかかっていた活動が、アプリと学習コンテンツを使って2時間くらいでできるようになり、アプリを使えばいつでも見られ、操作も簡単になったことで、子どもたちや学校でもより安全と危険について学びやすくなりました。
「防犯活動の活性化、世代間交流の促進ということで大学生が活動に行き、地域の学びの促進にもつながります。地域の人との交流や世代間交流の一助にもなると考えています。今後は高齢者の防犯ボランティアも一緒になって活動していきたいと考えています」。


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