時代を反映した、安全な家庭向けインターホンの開発
掲載日: 2022.11.24
利便性とともに安全性への課題が出てきた~インターホンを取り巻く環境
新型コロナウィルス感染症の影響もあり、国土交通省によると、2021年度の宅配便取扱個数は49億5,323万個となり、前年度から2.4%増となっています。
さらに共働き世帯増加もあり、子どもだけで留守番をする時間も増えており、宅配を受け取る際の防犯対策にも配慮が必要になっています。さまざまな安全機能を持つ「Nasta Interphone」は、第16回キッズデザイン賞 安全安心の一般部門で優秀賞(経済産業大臣賞)を受賞した作品です。株式会社ナスタ事業創造本部の及川絵里さんは開発の経緯とポイントをこう話してくれました。
「弊社は住宅金物の製造・販売をしているメーカーで、主にポストや宅配ボックスを取り扱っています。
ECサイトでの買い物需要の急増によって 再配達問題も急増しています。それに対して、弊社はポストや宅配ボックスの開発を通じてその課題を解決するべく努めてきました。共働き世代の増加など生活様式が変化しているなかで、子どもが一人で留守番をしている時であったり、留守番ではなくても子どもがインターホンで応答したりという状況は不安なことだと思います。この不安を取り除くためにインターホンを開発することにしました」。
常時録画でいつでも見守りを、自動音声で応対のリスクを削減
安全性を高める同製品の特長は3つあります。1つ目は防犯カメラ、2つ目は宅配ボタン、3つ目がスマートフォン対応です。
「これまでのインターホンは呼び出しボタンが押された時のみ録画をするタイプが主流でしたが、不審者が必ずしも呼び出しボタンを押すとは限りません。本製品は常時録画をしつつ、それをいつでもどこでもスマートフォンで確認できるようにしました。子どもが一人で留守番をしていたとしても、親はその様子を外出先から確認することができます。
つまりインターホンでもあり、防犯カメラでもあるわけです」。
24時間録画で外の様子が確認できる機能は見守りに有効だ
さらに自宅にいる時の対応にも、安全性を高める新しい工夫があります。
「2つ目に新しい宅配ボタンを設けました。ECサイトの利用率が上がったことに伴い、宅配業者を装った事件も増加しています。これまでは玄関でピンポンとなったら、あまり気にせずにドアを開けていたと思いますが、今はそれに不安を抱えるようになったご家族も多いのではないでしょうか。子どもに対応させるのはさらに不安があります。この製品では宅配専用のボタンを設け、宅配ボタンが押された時はインターホンが自動応答します。
例えば『宅配ボックスに荷物を入れてください』といったメッセージを自動的に応答してくれます。子どもが一人で在宅していたとしても配達員の呼出に対応することなく、安心して荷物を受け取れます。最近では、自宅でのリモート会議中にピンポンという音が鳴っても離席する心配もなくなったという声もあります」。
自動音声が応答することで子どもだけでの対応が不要になる
家事に忙しい毎日でも手元で確認、対応が可能
「3つ目がスマートフォン対応です。基本的にスマートフォンで来訪者の確認と会話を行ないます。
従来のインターホンは壁に設置されているモニターでやり取りをしますが、急いで走って行って対応するといったことがストレスになっていました。この製品ではいつも持ち歩くスマートフォンで確認できますので、料理中や授乳中でも手元で来客の対応ができます」。
家事や育児に集中している時でも手元で応答できる便利な機能だ
便利で今や生活に欠かせない宅配ですが、さまざまなサービスや製品が便利さと背中合わせで子どもを取り巻く新たな課題を生み出しているように、ここにも安全の対策が欠かせなくなってきているようです。子どもがいる家庭での安心感は格段に向上することでしょう。及川さんは語ります。
「これからの生活様式に対応したインターホンとして、子どもたちにより安全・安心な暮らしを提供するために広めていきたいと考えています」。