「子どもたちの未来のために私たち(企業、大人)ができること」経営者による意見交換会セミナーレポート:徳本氏

掲載日: 2023.1.19



あそびの研究所「PLAY DESIGN LAB」では、あらゆる分野の専門家と共に、あそびを研究、実証し、社会課題の解決に取り組みます。
徳本氏は「あそびの環境をつくるメーカー・デザイン会社としての取り組みと、ラボの2つのループを回し、より良い未来の創造、大きな社会課題をどう解決していくかという部分にジャクエツの存在意義があります」と話します。


■あそびの研究・実証事例


PLAY DESIGN LAB の事例を2つ紹介します。
一つは、2017年に開館した富山県美術館の屋上に設置された無料で遊べる公園。ジャクエツの遊具を配置した「オノマトぺの屋上」です。
美術館の作品が展示される前、プレオープン時期間だけで57万人もの人が訪れました。複合的な施設作りの中で、あそびのエリアを手掛けた事例となっています。


もう一つは、子どもの活動と睡眠を調査したもので、2021年のキッズデザイン賞で審査員特別賞を受賞した富士通との共同研究。高性能の3Dセンサーを200〜300人の幼稚園・保育園児に24時間装着してもらい、登園による集団の学びが、良い活動・良い生活習慣・良い睡眠となり、翌朝の登園につながるかを調べました。


生活のリズムは大切で、朝、体が動くと将来的に頭の回転が良くなるし、学習的にも伸びていくことが証明されているそうです。

平日と休日を比較しても、平日の集団による遊びの運動量は圧倒的に多く、徳本氏は子どもが集まること自体が大きな価値を生み、幼稚園や保育園は大切な場所だと話します。

「休日に家族で公園へ行っても運動量は少ない。また、都会は公園自体が少なく、遊べる場所がないのが現状です。こうした課題をレポートにして社会に還元しています」


■未来価値とは 時を重ねるほどに豊かになっていく価値


「私たちの使命は、あそびの環境をデザインすることで、未来価値を創造することです」

SNSが全盛の今、「いいね」を多くもらいたい、すぐに認めてもらいたいという欲求が強く見受けられます。しかし、未来価値は今すぐ実現できるものではありません。子どもたちが成長する過程、長いスパンで変化し大きく花開くもの、時を重ねるほどに豊かになっていく価値だと考えると言います。
子どもたちのしなやかな感性の根っこを育むためにできることは何でしょうか――。



ジャクエツでは、未来価値をつくるために社員が共有する言葉を集めた『VALUE BOOK』を作成し、顧客や関係先にも配布し、共感してもらおうとしています。

「これから生まれてくる子どもたちのことも考え、社会全体で事故を減らすという成果目標を社員に伝えています。企業の成果は利益を上げるだけではない、会社の外側にもあるのです」

■人生100年時代、答え合わせは100年後に

ヨハン・ホイジンガは著書「ホモ・ルーデンス」で「あそびは文化に先行し、人類が育んだあらゆる文化はすべてあそびの中から生まれた」と記しています。
「あそぶ」ことは人間に備わった能力で、共感がないと「あそぶ」ことはできません。

「人生は100年時代に突入しました。子どもが良い会社に就くためのキッズデザインではなく、もっと長い、100年スパンでキッズデザインを考えていこうというのがジャクエツの合言葉になっています。答え合わせは100年後に」

    
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