正しい足の発育のために開発された、“新世代上履き” に隠された技術
掲載日: 2022.11.21
子どもの足は発育途上、その解明と開発から始まった
子どもの足はとてもデリケートなものです。健全な身体の発育・発達のためには子どもの年齢と体格に合った正しい靴を選ぶことが大切です。こうした課題を解決した「ミキハウス スクールシューズ」は、第16回キッズデザイン賞 安全安心の子ども部門で優秀賞(経済産業大臣賞)に輝きました。三起商行株式会社品質管理部部長の上田泰三さんはこう言います。
「ミキハウス スクールシューズは幼稚園や小学校で子どもたちが毎日使う、いわゆる上履きとして開発しました。子どもの足は骨が未熟で柔らかく、変形しやすい状態にあります。また歩き方も大人と比べて独特です。
一方で汗腺数は大人と同じですから、子どもの足は小さい分、足裏の汗腺の密度が高くその分汗をかきやすいと言えます。
そのため、子どもの足の特徴にあった靴をしっかり履いていただくということがとても重要です。上履きは、学校や保育園生活で子どもたちが長時間履き続けるものであるにもかかわらず、従来は主にコスト対策という要因から、スリッポンタイプやバレエシューズタイプが主流で、比較的簡単な作りのものが多いという状況がありました。そこで、機能的、衛生的で履き心地の快適な上履きの必要性に着目し開発しました。」
子どもならではの身体特性、歩行や走行の特性を踏まえる
開発にあたっての基本的なコンセプトは、「正しい歩行と足の発育をサポートする機能」です。
「子どもの足の指は着地のたびに広がるため、その動きを妨げず地面をつかむように歩くことが出来るよう、つま先が広がったような形になっています。さらに着地の衝撃の時にかかとが横ブレを起こして内側に倒れこみやすいので、かかとをしっかり固定して歩行を安定させる『しっかりカウンター』、骨や筋肉に負担をかけないように正しい位置で屈曲する構造を持った『フレックスソール』など、人間工学的な知見に基づいた設計や機能が随所に施されています。
またゴム製のソールは活発な動きに耐え滑りにくいよう、グリップ力と強度のあるつくりにしています。面ファスナーで着脱がしやすく、細かな調節ができるという点も特徴です」。
子どもの足の発育の特徴に合わせた、様々な安全への配慮がある
技術と素材の工夫で、衛生面での配慮も行き届く
さらに近年、特に注目されている衛生的で快適な履き心地をサポートする機能も備えています。
「長時間履くものということで、アッパーには通気性の良いメッシュ素材を採用しました。
また特徴的な点が、取り外しができ単独で洗えて衛生的なカップインソールです。カップインソール表面のメッシュ生地には抗菌・抗ウイルス加工『ピュアベール(※)』を施して、いやな匂いの原因となる細菌の繁殖を抑える機能を付加しました。これは、酸化機構の異なる2種類の触媒を特殊な方法で組み合わせ、空気中の酸素を利用して悪臭物質や細菌類を分解する機能を高めた「ハイブリッド触媒」という技術を利用した機能です。抗菌・抗ウイルス機能に関しては公的検査機関のエビデンスにより、効果がきちんと確認されています」。
(※「ピュアベール」は三起商行株式会社の商標です)
洗いやすさや特殊技術を利用した衛星面の向上などにも心配が
細かなサイズ設定で、15センチから21cmまでを5ミリ刻みでサイズ展開しており、子どもの成長に合わせたジャストサイズを選べる点も重要です。成長に伴って動きが活発になり行動範囲も広がる子どもの足をしっかりと保護しながら、正しい発育をサポートしていく製品でありたい、という開発の思いが見事に形になりました。足はすべての健康のもと、とも言われるほど大事な部分です。
幼稚園や学校などで長い時間、履くものだからこそ、もっと知りたい、気にしたい製品のひとつでしょう。