子どもが主役の、子どもによるデザインが常識を超える ~VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT

掲載日: 2021.11.16

もっと知りたい、つくりたいを受け止められる場に

第15回キッズデザイン賞の最優秀賞は「VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT」に輝きました。新渡戸文化学園は東京都中野区の子ども園から短期大学まである総合学園です。同校の名前は初代校長の新渡戸稲造に由来しております。受賞作品である「VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT」は、新渡戸文化学園と「Conviviality(コンビリアリティ)=自立共生」をミッションに掲げてクリエイティブなプロジェクトや環境を作る企業、VIVITA JAPAN株式会社が共創して取り組んでいるものです。新渡戸文化小学校・アフタースクールの山内佑輔さんにお話を伺いました。
「学校は通常活動においても非常にたくさんの学びがありますが、それをもっと知りたい、やってみたい、作ってみたいという子どもたちの思いを受け止められる場所でありたいと考え、2020年9月から運営を始めました。最初はなにもない空間でしたが、自分たちでこの環境を作っていくという思いを持ってほしい、自分たちのものなんだと思ってほしい、そんな思いが出発点にありました」。
学園としては教科横断的な、社会につながる学びを実現したい、VIVITAとしては、子供と一緒に木を活用した活動をしてみたい、国産材を何か活用できないか、という思いがあったそうです。パートナーとして加わっていただいたのは、林業地域でもある高知県佐川町のデザイナーでした。活動に共感していただいて、オンラインで森のこと、木のこと、ものづくりのことを学ぶことができました。これにより、コロナ禍においても実現可能な取り組みになりました。

独創的な椅子がたくさん生まれた

子どもたちの発想から多くのユニークな椅子ができました。その一部を紹介しましょう。山内さんはこう語ります。

「全部で椅子は12脚できました。例えば「つらないブランコ」。この5人組はブランコを作りたいと考え、最初、工作用紙でプロトタイプをつくりました。でも、授業を受けるにはブランコはやっぱり大きすぎるよね、といった話を進めながらだんだんとブラッシュアップされていきました。

想いが固まったところで、レーザーカッターでミニチュアを出力します。この段階でだいぶ絞れてきました。あまり揺れ過ぎると危険だよね、でも揺れるっていうことを大事にしたいんだ、など意見を交わしながら、実用性もなければなりません。オンラインでデザイナーの意見も取り入れながら、子どもと大人が共に作り上げるプロセスを経て作られていきました。

自分たちの思いや形を発注書として提出して、オンラインで打ち合わせると、3Dモデルでデザイナーが組み上げてくれます。 それをもとに再びオンラインで繋いで微調整。こういった取りを繰り返します。高知県佐川町が持つCNCルーター「Shopbot」という機械は、椅子の部材である板を機械で切り出してくれる優れものです。パーツが学校に届くといよいよ組み立てです。5人で協力しながら作り上げ、完成したのがこの椅子です」。
完成品は縦でも横でも揺れることができる、様々な座り方ができる椅子になりました。揺れるとやはり荷物が落ちてしまうので、それを解決するためになみなみのデザインを採用したと子どもたちが語ってくれました。

まだまだユニークな作品がたくさん

「こちらはさまざまな形に使えるというアイデアで「奇想天外イス」と名付けられています。座る人によって椅子の使い方を考えてくれればいいという、面白い椅子です。椅子全体の形や接続部分にすごくこだわって、つくりあげました。

「リラックスギャラクシー」は収納も考えた実用的な椅子です。どういう風な曲線を使って、どういう座り心地にするかを探求した椅子です。

「まるひの丸椅子」は中に入ることができ、フタを閉じれば、椅子としてもちろん機能します。」

まさに子どもたち自身が主役の取り組みと言える「VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT」。大人と子どもが共にアイデアを出し合って、自分たちが欲しい、つくりたい環境のために取り組んだ成果と言えるでしょう。

第15回キッズデザイン賞受賞記念シンポジウム

    
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