感染症防止のために、いま、住宅ができることとは ~積水ハウスの次世代室内環境システム「SMART-ECS」

掲載日: 2021.11.19

家の中にこそ、きれいな空気を届けたい

新型コロナウイルス感染症は子どもたちの心身の健康にも大きな影響を及ぼしています。感染を防ぐためのさまざまな工夫やデザインも進んでいます。そのひとつが住宅の機能や間取りに対する提案です。安全安心に貢献するデザイン・一般部門の経済産業大臣賞を受賞した「積水ハウスの次世代室内環境システム・スマートイクス(SMART-ECS)」はその好事例です。積水ハウス株式会社総合住宅研究所所長*1の野間賢さんにお聞きしました。
「スマートイクスは、2020年12月に発売されましたが、これは新型コロナウイルスの第3波の真っ最中でした。イクス(ECS)は室内環境コントロールシステム(Environment Control System)の略称です。住まいの空気を常にきれいにする役割を担っています。文部科学省が出しているデータでは、新型コロナウイルスの子どもの感染経路は家庭内感染が約6割と言われています。住宅メーカーとして、住宅内の感染を防ぐための配慮が必要と考えました。当社の住生活研究所が独自に行なった生活者意識アンケートでも「家の中の空気はきれいが理想」という方が97%、「できるなら窓を開けずに換気したい」という方が64%、住まいのきれいな空気に対するニーズが非常に高まっていることがわかりました」。

空気をきれいにするための多様なシステムと工夫

スマートイクスは換気ゾー二ングと換気・空気清浄で構成されています。普段の生活に加えて家族に病人がいる時や来客で人が増えた時など、暮らしのシーンに合わせて、家の中の空気をコントロールしてくれます。
「換気システムによってリビングに新鮮な外気を取り入れて、リビングの中で空気をさらにきれいにします。リビングのきれいな空気を風上にして、風下である廊下などの非居室にも空気を流す仕組みです。これを換気ゾーニングと呼んでいますが、きれいな空気を家中にめぐらすことができます。家族1人あたりの換気量は、商業建築に求められている1時間あたり30㎥を確保しています。

アメニティー換気システムと呼んでいるシステムは、熱交換機能と呼ばれ、例えば寒い冬だと取り入れた外気で室内温度が下がってしまうことがありますが、それを極力抑える快適でかつ経済的なシステムです。

もうひとつのシステムである天井付空気清浄機「Air Me」は、空気中の小さな汚染物質をすばやく除去します。この2つを組み合わせることで汚染物質の除去交効果は一般的な換気システムの約5倍となっています」。

自分の家の空気の様子を見える化する

さらにスマートイクスでは玄関近くで手洗いや着替えができるチェンジングルームや子どもがよく触わる部分には抗ウイルスやタッチレスの建材を使用しています。万が一の時には、家族とへ極力生活動線を合わせないように配慮した自宅療養プランの提案もあるそうです。

「空気の清浄効果は弊社の総合住宅研究所にある実験棟でその効果を実証しました。邸別の換気・空気清浄のシミュレーションを動画にして、お客様ご自身のプランでの、人には見えない空気の流れをご覧いただくことができるようになっています」。
現在では、新築戸建住宅の約8割がスマートイクスを採用していると言います。子どもや家族で過ごす時間が最も多い住宅でより良い空気環境、安全な空間づくりを進めています。

第15回キッズデザイン賞受賞記念シンポジウム

*1:2021年9月29日時点の役職です。

    
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