絵本とスパイスでストーリーの中へ入り込む、新しい体験

掲載日: 2022.11.30

絵本とスパイスでストーリーの中へ入り込む、新しい体験

もっとスパイスの魅力を伝えたい、との思いから生まれた絵本

絵本の付録、と言えば工作キットやアクセサリーなどが思い浮かびますが、この作品はちょっとユニークです。それは「スパイス」。調理に使う様々なスパイスが絵本とセットになっています。子どもたちの創造性と未来を拓くデザインのリテラシー部門で経済産業大臣賞を受賞した「わくわくスパイストリオのだいぼうけん」はどのようにして生まれたのでしょうか。ハウス食品株式会社 食品事業本部 食品事業四部のチームマネージャー、楠本明日香さんが語りました。

「弊社はバーモントカレーやフルーチェ、とんがりコーンといった加工食品を主とした事業をしている食品メーカーです。
そして長年、スパイスを生業としてきた会社でもありまます。スパイスは最近こそ、カレーブームなどで知名度が上がっていますが、一般の方にはまだハードルが高いかなと思っています。『読んで作って食べて 子供の食べる力を育むスパイス付き絵本~わくわくスパイストリオのだいぼうけんレッツ・ゴー☆バターチキンカレー』はそれを解決したいとの思いから生まれました。スーパーのスパイス売り場ではなく、スパイスとの新しい出会い方はないか、とチームで検討しまして、幼少期の親子のコミュニケーションの中での出会い、という結論にたどり着きました。子どもの頃の良い思い出は大人になっても忘れない。そんな体験を提供したいと考えました。どのようなメニューが良いかを検討した結果、親子双方で楽しめる馴染み深いメニューであるカレーを選びました」。

絵本とスパイスでストーリーの中へ入り込む、新しい体験

本物のスパイスが付録としてついているユニークな絵本

食への関心は生きる力の源、だから大切にしたい

開発のきっかけは楠本さんご自身の身近な体験にもありました。
「私自身も2人の子どもの母親ですが、実体験の部分もありまして、子どもが食べることへの興味・関心が薄れてきているなと肌身で感じてきています。孤食、変食、欠食など子どもを取り巻く食の問題は多数、存在しており、食自体も多様化していると感じています。子どもの食べる力を向上させることが、将来の子どもの生きる力につながることにならないかと考えました」。

ワクワクしながら読む、スパイスの魅力を知る、そして自分で作ってみる

開発にあたっては、第一の課題として「子どもが自主的に関与したくなる食育機会を提供する」、第二の課題として「親子の記憶に残る、楽しかった思い出を創出する」という2つを設定したそうです。
「親子料理教室や料理レシピの配信といったアプローチもあると思いますが、子どもに馴染み深い絵本に着目した点に独自性があると考えています。子どもも、大人もワクワクする仕掛けを施した絵本で、自然に物語と料理体験が掛け合わされる製品にしました。絵本のストーリーは絵本作家さんと一緒にゼロから作り上げた冒険仕立てになっています。物語の中にカレーに必要なスパイスを登場させ、必ず1種類のスパイスにスポットを当てながら理解促進につなげています。料理体験については子どもが主役となって作れる簡単なレシピに仕立てました。物語を通じて、料理全体のイメージを膨らませ、そこから調理に入れるような流れを作りました。具材の切り方や調理ステップをターゲットの年齢に合わせ、子どもでも辛くない、大人にとっては本格的と感じていただける味わいを心掛けました。こうした工夫をすることで、これまでの絵本やレシピ本、図鑑には当てはまらない 食育体験本が実現できたと考えています」。

絵本には使い切りのスパイス4種類が付録としてセットされています。キッチンで子どもが見ながら調理できるようにと、サイズもA5判にこだわっています。
「絵本のストーリーは、料理に興味のない主人公がスパイスを探す旅の中で、料理の奥深さ、食材のありがたみに気づいていく内容です。主人公の男の子は、絵本のターゲット年齢と同じ小学校低学年で、性格は少し面倒くさがりやさん。読んでくれる子どもたちが自分自身を重ねて物語にのめり込んでもらえたらいいなと考えています。レシピページの内容通りに作っていただくと、絵本の中で主人公が食べたカレーと同じものが作れます。スパイスの配合は研究を重ね、子どもでも食べられる辛さにした、オリジナルレシピです」。

絵本とスパイスでストーリーの中へ入り込む、新しい体験

没入感を得られるような登場人物の工夫もある

絵本とスパイスでストーリーの中へ入り込む、新しい体験

絵本に出てくるカレーと同じものが自分で作れる

子どもの頃の楽しい、おいしい記憶が食への興味をかき立てる

目から鱗が落ちるような斬新なこの絵本。読んで体験していただいた方からも嬉しい言葉をたくさんいただいているそうです。
「『普段、少食の子どもたちがおいしい、おいしいと食べてくれた。それが親としてすごく嬉しかった』といったコメントをいただきましてた。子どものワクワク感に出会えたこと、親子の良い思い出になったこと、目指していたものに対して評価をいただけ大変嬉しく思いました。親子一緒の調理体験や子どもだけで料理を作った達成感などが記憶に残ってくれれば、将来にわたって食に興味を持ってもらえるのではないかと考えています」。

    
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