人気フリマアプリの企業が提案する、モノとお金の価値の再発見への学び
掲載日: 2022.12.2
フリマアプリとは資源の循環に寄与する環境に優しい取組
自分が使わなくなったモノをネットを介して売り買いするフリーマーケットのサービスは皆さんも利用したことがあるのではないでしょうか。その代表格であるメルカリが、教育プログラムを手掛けています。「『mercari education』循環型社会を楽しく学べる教育プログラム」は時代に欠かせない資源循環や消費のあり方を学べる、完成度の高い作品として、消費者担当大臣賞を受賞しました。株式会社メルカリ経営戦略室の齋藤良和さんにその狙いについて聞きました。
「フリマアプリのサービスは不要となったものを捨てるのではなく、それを必要としている人の手に届けることを目指した事業です。弊社のコーポレート・ミッションは『新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを作る』であり、限られた資源が循環していく社会を作りたいという思いから、このフリマアプリ事業も運営しています」。
多くの製品が世の中に送り出され、私たちの手に渡る今の時代ですが、やがて使わなくなったり、今の暮らしに合わなくなったりして、家の中でひっそり眠っているといったことも珍しくありません。限りある資源を大切にする、モノを循環させることで無駄や廃棄を減らすという考えはSDGsの中でも重要な視点です。
教育プログラムで循環型社会を学ぶきっかけをつくりたい
「メルカリがなぜ、教育関係の取り組みをしているのかですが、目的は循環型社会の実現です。ポイントは3つあります、『捨てる以外の選択肢をより身近にする』『バリューチェーン全体で循環型社会を作っていく』『サステナブルな行動について学習できる環境を』。
これまでも教育関係の取り組みでは、フリマアプリを安心安全に使うための出前授業や教材作りなどを実践してきました。最近は社会環境の変化や子どもの学びも変化があり、教材自体をアップデートする必要があると考え、どうすれば子どもたちに楽しみながら学んでもらえるかを社内外の声をいただきながら検討してきました。その結果、循環型社会の実現に向けた文化の醸成、インターネットサービスを安心安全に使えること、の二軸から検討しました。これらをオープンコンテンツにしていこうと考え、『mercari education』というポータルサイトを公開しました」。
コンテンツを無料でダウンロードできるポータルサイト
身近なアイテムをテーマにした学習プログラムは、ワークショップやクイズ形式、フリマへ出品する疑似体験など、さまざまなアプローチで構成されています。
「サイトには学校や家庭で利用できる教材、例えばスライドや指導案、動画コンテンツをまとめています。現段階では3テーマ、合計6種類のプログラムを公開しています。『物とお金の価値を親子で学ぶ』といったコンテンツや『インターネット利用の安心安全な商取引』を学ぶもの、SDGsを学んだり循環型社会を体験したりすることのできるコンテンツ等を提供しています。サイトは誰でも閲覧でき、コンテンツは無料でダウンロードできますので、学校でもご家庭でも活用いただけます」。
身近なアイテムやテーマでわかりやすさを重視
コンテンツを見てみると、例えば子どもにも身近なスニーカーやTシャツを例にとりながら、不要になったモノに対する行動を投げかけ、捨てる以外にどんな選択肢があるのかを考えるといった内容になっています。普段の暮らしの中でできること、気をつけることを取り上げて、より理解しやすいものになっていることがわかります。
小学生から高校生まで、モノとお金、インターネット、SDGsの3つのテーマがある
「保護者の方、先生方からも様々な声をいただいています。学校の副教材として利用したり、小学生が保護者の方と一緒に体験できるようなイベントも実施されています。こうした学びから、実際に社会で役立つスキル、あるいは将来フリマアプリを使う場合にも気をつける点などに気づいてもらえればと考えています。今後の取り組みとしては、これらの教材をより多くの方に使っていただけるように多様な連携、プログラム自体のリニューアルやアップデートをしていく予定です」。
SDGsは決して遠い世界の話ではありません。今いる子どもたちが主役となるこれからの社会に必要なスキルが身につくことで、モノを買うことの本質やシェアリングといった新しい消費のあり方、モノとお金の価値について考えるきっかけを作ってくれることでしょう。