地域や社会の課題発見から広がる、新たな学びの場所づくり

掲載日: 2023.12.19

地域や社会の課題発見から広がる、新たな学びの場所づくり

子どもの知りたい・学びたいを後押しする場所に

放課後の子どもの居場所づくり、新たな学びや体験を促す活動として注目されているアフタースクール。学校だけでは学べない、多様なプログラムが魅力です。
新たなアフタースクールの取組として評価された「みらいをつくる Miracle Labo」はキッズデザイン賞の消費者担当大臣賞を受賞しました。担当する株式会社パソナフォスター専務執行役員の太田大河さんはその思いをこう語ります。
「Miracle Laboは弊社が21世紀最先端共有型アフタースクールとして、2020年の7月、東京都小金井市でスタートしました。学びのコンテンツとしてプロジェクトベースドラーニング、SDGs の学習、個人と共同の学び、システム英語等を実施しています。学びのコンセプトは『子どもたちの探求心を本物にする場所』。学校と違った学びや体験ができる場所として、あらゆる活動を通して子どもたち自身が生きる力を育むことを目指しています」。

本作品の開発にあたってはコロナ禍で思い通りに遊んだり、貴重な体験の機会を奪われてしまった子どもたちへの思いがあったそうです。太田さんが続けました。
「2019年にコロナが発生して以降、子どもたちの育ちや学びの環境も大きく変化しました。学校が行なっていた活動行事の自粛や部活動の休止、安全性の観点から校外活動の中止などもあり、子どもたちの体験機会がどんどん減っていき、居場所も少なくなっていました。これまで普通に行われていた地域のお祭りやボランティアへの参加も希薄化し続けています。
さらに、インターネットが普及とともにテクノロジーも進んで、いつでも情報を得られるようになり、子どもたち自身の学ぶ意欲も減ってきているように感じました。
諸外国と比べると教育投資が少ないと感じている一部の保護者の方が、子どもたちに複数の習い事をさせて余計に子どもの自由な時間が少なくなる、友達とのコミュニケーションが不足しているという状況があるのではないかと感じました。
学校外で様々な人と出会い、関わり、主体的に学べる体験の場を提供したい。
Miracle Laboはそこからスタートしています」。

問いをみつけ、様々なアプローチから答えを導く

この取組では課題解決型学習と訳されるプロジェクトベース・ラーニング(PBL)がその基礎にあります。問題に対する答えを求めるだけではなく、問いそのものを見つけ、その解決方法を探っていくという学びの考え方です。
今回受賞した「消費者育成」の視点においても、その方法が活かされています。

地域や社会の課題発見から広がる、新たな学びの場所づくり

学校、地域、企業と子どもや家族が連携することがPBL成功の鍵だ

「PBLはまず子どもたちが自分のやりたいことをとことん見つけて調べるところからスタートします。
フィールドは小金井市はじめ、あらゆる地域に向けられます。見つけた内容について仲間と話し合い、探求と設計を繰り返し、時には専門的な知識を持った企業や社会のさまざまな方々と触れ合って中身を深めます。
最終的には家族や友人の前で成果発表を披露します。今回の受賞作品のなかでは、建築デザイン会社として小金井市に誰もが集えるお店を作ろうというテーマでPBLを実施しました。

子ども目線でお店を開発したり、商品設計をして、未来につながるお店作りについて学びました。別のプログラムでは税理法人と連携して大切なものを継いでいくというテーマでPBLを実施しています。子どもたちの宝物の追求からスタートして、小金井市には地主さんも多いため、相続問題について考えるようなプログラムになりました。
PBLを通じて多様な体験学習の実現できたということだけではなく、社会教育や消費者教育の実践の場になったと思っています」。

地域や社会の課題発見から広がる、新たな学びの場所づくり

魅力ある商品とは、行きたくなる店づくりとは、を様々な視点から考える

SDGsにつながる、地域との連携プログラムも

地域や社会の課題を見つけ、その解決を目指すというアプローチはSDGsの取組とも親和性があると言います。例えばSDGsのゴールのひとつである「つくる責任、つかう責任」に関連するプログラムもあります。

「地元の小金井市の農家を訪問して、じゃがいもの掘り体験を行いました。
さらにそのじゃがいもが生産者から消費者に届くまでの工程について学び、その時に感じた課題、例えばこのじゃがいもをどのように消費者に届けたら一番魅力的な商品になるかというパッケージを作ったり、今後じゃがいもづくりを地域で維持していくにはどうするべきか、といった課題について考えることで地域活動を元にしたSDGsの学習を実施しています」。

地域や社会の課題発見から広がる、新たな学びの場所づくり

地場産じゃがいもを知り、「つくる責任・つかう責任」を考える

アフタースクールという性格上、保護者から子どもの宿題を見て欲しいという要望も多くあるそうですが、東京学芸大学教育学部の卒業予定の大学生に学習指導のサポートをお願いしているそうです。
これは子どもたちのみならず、未来の教員、学習指導員になるための実践の場にもつながっています。異年齢交流や人材育成にもつながっている、Miracle Laboの今後の進化にますます期待が持てることでしょう。

    
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