ひとりで抱え込まない子育てのために~子どもの発達特性でつながるSNS「テテトコ」

掲載日: 2025.12.4

ひとりで抱え込まない子育てのために~子どもの発達特性でつながるSNS「テテトコ」

同じ環境にある親同士の交流を増やしたい

子どもの発達特性は個性がありその範囲は幅広い。いかにして同じ環境にある人を探すか、そこに切り込んだ取組がある。
発達に特性のある子どもの保護者同士の会話、交流を促すSNS上のプラットフォームの「テテトコ」は子どもたちを産み育てやすいデザイン部門・優秀賞(こども政策担当大臣賞)を受賞した。
開発を手掛けた株式会社ZIZOの真喜志淳さんはこう語る。

ひとりで抱え込まない子育てのために~子どもの発達特性でつながるSNS「テテトコ」

子どもに発達特性のある親同士の交流プラットフォーム

「テテトコは、ユーザーが自由に言葉をつぶやき、それにコメントがついたり、フォローしたりという、機能的には一般的なSNSですが、唯一異なる点が発達障害もしくはグレーゾーンの子どもを育てている保護者の方のみが使うコミュニティであることです。
私たちがそこに注目したのは、発達特性のあるお子さんを育てている保護者の方が、実は社会で見えないところで孤立化しているのではないかという思いからでした。

そこには理由が2つあると考えています。一つ目は発達障害の子どもを育てている当事者のご家族同士のつながりをつくる機会が限られていることです。
二つ目は子どもの発達の悩みについて話ができる相手がいなかったり、共感できる相手が普段の生活でなかなか見つからないことです。
私たちが実施したインターネット調査では、自分の子どもに発達特性があることを周囲の友人や知人に開示をしない、という方がほとんどでした。誰にも知られないなかで、実は子育てを頑張っている方がいらっしゃるわけです。
そうした保護者同士をつなげられる場所を作りたいと思いテテトコを開発しました。」

ひとりで抱え込まない子育てのために~子どもの発達特性でつながるSNS「テテトコ」

アンケート調査から当事者の孤立化が浮き彫りになった

テテトコという名前に込めた思い

自分の子どもに発達特性があることをなかなか外部へ話せないという調査結果から、まずは小さなことからでもいいので話せる相手を見つけることができればとの思いからサービスの開発が始まったという。
「私たちが掲げているコンセプトが、子どもの凸凹を通して保護者をつなげ、子育てをちょっと前向きにするSNSというものです。
これまでなかなかつながることができなかった同じ立場の当事者、家族の方々がアプリ上でつながって、本音でポジティブなことも、ネガティブなことも含めて子育ての話ができる。
そこでお互いに共感の声が上がったり、励まし合ったりという中で、毎日の子育てに前向きになる。それが結果的にお子さん自身に対しても良い影響が出るのではないかと考え、そんなつながりを応援したいと思いました。」
 テテトコという名称にもその思いが反映されている。
「サービス名の由来は、手が2つでテテ、子どものコ、合わせてテテトコです。
これまでなかなか横のつながりが作りづらかった保護者同士が手を取り合って一緒に子育てを頑張っていくという思いを込めました。」

ひとりで抱え込まない子育てのために~子どもの発達特性でつながるSNS「テテトコ」

保護者同士をつなげ、悩みを一人で抱え込まないように配慮

個性は多様、だからこそマッチングの仕組みが必要

「最も工夫した点が『ウチノコカード』という機能です。
発達障害は一人一人の個性が様々で、発達障害の子育てをしている親同士が集まったとしても、困り事や置かれている環境が違っていることがあります。
カードはお子さんの特性、例えば通常教育に通っているのか、支援学校に通っているのか、どのような環境で育っているのか、療育をどのように利用しているのか、といった情報を最初に登録します。
これにより自己紹介のカードが自動生成されます。

これがあることによって、ユーザー同士が自分とよく似た子育てをしている人を探しやすくなり、つながりが作りやすくなります。
同じ環境にあるユーザーをレコメンドするアルゴリズムも組んであり、いわゆるおすすめのユーザーのような形で、自分とよく似た子育てをしている親とつながりやすくなります。」

ひとりで抱え込まない子育てのために~子どもの発達特性でつながるSNS「テテトコ」

「ウチノコカード」で自分の子どもの特性を登録、同じ環境の人とマッチング

「ウチノコカード」には「気になること」という項目がある。例えば「コミュニケーション(言葉で伝える、話を聞く)」「メンタル(人見知り、やんちゃ、協調性)」といった情報を選択式で登録できる。
同じ環境にある人がいるということを知るだけでも心は軽くなるだろう。真喜志さんは改めて強調してくれた。

「私たちが掲げているブランドメッセージは、なかなか社会で可視化されなかった、子どもの発達特性を抱えながら子育てをしている方々が集まる場所を作るということです。
誰にも気を使わずに、当たり前に発達の話ができる場所を私たちが作り、これからもっとこのSNSのコミュニティに入っていただける方を増やしていきたいと思っています。」

    
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