2025年、キッズデザインのある街で
Story 4
子どもと子育ては、自分育ての道でもある
さまざまな価値観が存在しさまざまな暮らしが営まれる
でもそこに子ども目線を入れるとそれが何のためにあるかがわかる
今を生きる子どもとこれから生まれる子どもそれは私たちの未来そのもの
さらに夫は続けた。「子どもや子育てにやさしい製品や活動、仕組みは増えてきた。安全についても、安心についても、利便性や快適性についても、確実にこの国は進化してきた。それはグローバルに見ても先進的で、海外にも広まっていくにふさわしいクオリティだ。だからこそ、そこで生まれてくる時間や、価値や、仕組みをもっと海外も含めた子どものために、次の世代のために使わなければいけない。どの場所でも、どの組織にいても、その選択肢の最終決定者は僕ら自身なんだ。可能性は無限にある。子どもが健全に育っていくことは、僕たちみんなが希望と夢を持って生きていくことにつながっている。 家族にとっても、地域にとっても、組織にとっても、国にとっても。だから、社会で子どもを育むことは大切だし、楽しいことなんだよ」。
妹はその話に聞き入っていた。妹の夫も考え込むようなそぶりをしていた。しばらくして、妹がようやく口を開いた。「これから生まれてくるこの子が、私たちのこれからの人生のデザインを一緒につくってくれるのね。素敵じゃない。私たちも子どもにまだまだ育ててもらえるわね」。
遊びに来た妹夫婦はもうすぐ生まれてくる子どものことも考えて、これからのライフデザインを思案している。夫の会社も、妻の会社もフレキシブルな勤務形態や在宅ワーク、育休取得についてはかなり積極的に取り組んでいて、このままの暮らし方でも十分、やっていけると思えた。兄夫婦にそのことを話すと、「多様な選択肢があることが一番大切だ」と言う。妹が「どういうこと?」と聞き返す。兄である夫は言う。「僕たちは子どもを育てているが、子どもにも育てられている。地域も同じだ。子どもが中心にいるとあらゆる世代の人間が活き活きする。ものづくりだってそう、僕らは生産者であると同時に消費者でもある。消費者の立場に立てば、子どものことを思いやって、ものを選択する自由がある。自分の子どもは、社会にとっての子どもでもある。どちらも一番、大切な宝だ。だから社会全体で育んでいく必要がある」。