2025年、キッズデザインのある街で
2人の子どもと都心から移住して暮らす夫婦、
妊娠中の妹夫婦、地域で活躍する妻の両親の2025 年の物語。
時は2025年。決して遠くない未来であるこの年に子ども、子育ての環境はどう変わっているか。
あるいはどう変わって欲しいのか。その仮説を交えた物語である。
プロダクツからサービス、制度からコミュニティまであらゆるモノとコトが子ども目線でデザインされている社会。
それを子育て中のある家族の暮らしの風景から見てみる。時は202 5 年。決して遠くない未来であるこの年に子ども、子育ての環境はどう変わっているか。
あるいはどう変わって欲しいのか。その仮説を交えた物語である。
プロダクツからサービス、制度からコミュニティまであらゆるモノとコトが子ども目線でデザインされている社会。
それを子育て中のある家族の暮らしの風景から見てみる。
家事も仕事も会話も穏やかに、ある日の家事の風景
子どもを連れての外出もとても便利で安心になった場所を選ばない勤務で仕事のしかたも変わってきた夫の家事も手慣れたもの時短がもたらす至福の時間
今日は午前中、子どもの検診へ行く予定。妻の会社のシステムで午前中を休みとし、午後は在宅ワークの申請をして、企画書を仕上げる予定だ。明日は朝一番で会議があるので、子連れ出勤で子どもと一緒に出社するつもりだ。
検診への移動はベビ ーカーを使い、そのまま乗り込める子育てサポートゾーンのある電車で病院の最寄り駅へ向かう。駅からはシェアリングのコンパクトカーで移動、ベビーカーも積み込める。スマートフォンでタッチするだけで、電車もシェアカーも自動課金なので便利だ。検診の予約や準備もネットのサービスで済ませてある。待ち時間はほとんどなくて済む。一昨日の夜、急に熱が出て心配したが、「医者や専門家に相談できるオンラインサービス」で相談してことなきを得た。
検診が終わり、自宅へ戻る前に買い物。駅に近いショッピングモールで食材
と来週会う両親へのプレゼントを購入した。途中、ベビー休憩室でホットウォーターサーバーのお湯を使ってミルクもつくった。ゆったりとしたベビー休憩室は夫婦で使えるスペースもあり、男性の姿も多い。初めてきたモールだったが、館内のエレベータや休憩室の場所はモバイルで瞬時にわかったので迷うことはなかった。
自宅は子育て世帯向けにリノベーションされた物件だが、庭も広く屋外バーベキューもできるほどだ。上の子どもがまだよちよち歩きだった時期は都心のマンション住まいで、通勤には便利だったが少々手狭な空間だった。妻が思い出すのは、子どもが興味本位で電気ケトルのコードを引っ張ったときのこと。幸い、転倒してもお湯がこぼれない構造だったのでやけどをせずに済んだが、初めての子どもだったので、この年齢でこんなことまでできるんだ、と驚きとともに感動を味わったことだ。
妻は午後の在宅ワークでどうしても企画書を仕上げなければならない。夫は午後の打ち合わせが終わればそのまま帰れると昨日の夜、言っていた。
今日は午後の授業は2コマなので、長男の学校が終わるのが15時半くらい。夫も17時には家に着くから、晩御飯は夫がつくる。近隣の農家の方からいただく新鮮な野菜は家族みんな大好きだ。最近では子育て支援アプリに離乳食メニューも豊富にあるので、野菜を使った離乳食に凝っている。夫が帰宅して、早速調理を開始。食材を準備するだけで一品が簡単につくれる最新のレンジグリルや野菜の鮮度を保つ冷蔵庫でオトコ飯もかなりのものだ。
軽く片手でも使えるハンディなクリーナーは、食べこぼしの多い子どものいる食卓には欠かせない。最近は長男も手伝ってくれる。
リビングの一角にある、おもちゃ置き場の掃除は自分で掃除するのが我が家のルール。そのうち下の子もおもちゃで遊びだすだろう。その時にお兄ちゃんは手本を見せなくては。
食事のあとは洗濯だ。明日また使うと言っていたから、小学校の体操着を洗っておかなくてはならない。このあたりは静かでそれほど周りを気にすることもないが、都会に住む妹夫婦は夜間の洗濯の音を気にして、静粛性の高い洗濯機を使っている。吸湿性がある壁材を使ったランドリーは、洗濯後、室内干しをして翌朝乾いたシャツをそのまま着て出勤できる、と嬉しそうに語っていた。
子どもたちが寝た後、妻も企画書を仕上げた。寝るまでに時間ができたので、来月に迫ったゴールデンウィークの予定を二人で話し合うことにした。子ども連れの旅行パックも多様なラインナップがあり、航空機や列車も乳幼児同伴用の車両が設けられていて、周囲に気兼ねなく乗ることができる。ホテルや旅館も子どもと一緒に宿泊するためのさまざまな設備やサービスが充実している。妻は海があるところへ行きたい、と以前から言っていたので、離島へ行くことに決めた。
主人公の夫婦は都心の大手企業に勤めていたが、2人目が生まれたのを機に、夫の実家に近い、自然豊かな地方都市に移住。妻もこれまでの経験を活かせる地元の企業に再就職した。
夫の妹は現在妊娠中で、夫婦とも都心の大手企業にそれぞれ勤務。
もうすぐ産休の予定だが、子育てしながらの仕事のやり方について、いくつかの選択肢を考えている。
妻の父親(義父)は元エンジニアで2年前にリタイア後、専門知識を活かして地元企業の技術顧問として週2回ほど顔を出すほか、地元の小中学生向けサイエンススクールで講師も務める。母親(義母)は趣味を活かしたガーデニング教室を開き、子どもが巣立って広くなった一軒家の1階を改装ペースで、近所の奥様に教えている。