2024.1.18
こまもり通信vol.2「知っておこう!子どものための防犯対策」セコム株式会社 舟生岳夫氏
今回の講演に、ライターの池尻も参加させていただきました。その当日のレポートをお送りします。
講師は、こまもりプロジェクト参加企業でもあるセコム株式会社の舟生岳夫さん。
多数の子どもの安全に関する本の監修など、防犯面を専門に子どもの安全について20年近く研究されています。
舟生岳夫(ふにゅう たけお)
セコム株式会社 IS研究所 リスクマネジメントグループ主務研究員
キッズデザイン協議会理事・研究開発部会長
こまもりプロジェクトとは?
テーマは、防犯対策の中でも「子どものインターネットやSNS利用時の注意点」について。
未就学児〜高校生までのお子様を持つ保護者の方を初め、防犯対策に興味を示す方、約30名の方にご参加いただきました。
1)最近の犯罪情勢
組織的な犯罪や凶悪犯罪、外国人犯罪の増加に伴い、犯罪の認知件数は2002年にピークを迎えたのですが、現在は犯罪の認知件数は減少傾向にあるそうです。
警察力の強化や地域住民による防犯活動の活性化、防犯カメラの増加などが抑制に繋がったとのこと。
しかし未就学児を対象とした犯罪や、サイバー犯罪は増加してきており、まだまだ安心できない状況です。
連れ去りの手口と対策
連れ去り事件は近年また増加してきており、特に中学生以上の被害が多くなっているそうです。
以前は、連れ去りの主な目的は身代金で、お金持ちや有名人の子どもたちがターゲットになる時代でした。今は、子どもそのものが目的になってきているそう。身代金目的だったのが子どもへの悪戯や監禁などの目的に変わってきました。
そのため連れ去りは特別な子どもだけでなく、どのご家庭のお子様もターゲットになってきています。そこで、セコムでは子どもたちが危険から身を守る力をつけるために「子ども安全教室」というのを開催しているそうです。
「あやしい人は誰でしょう?」と子どもたちに聞くと、昔は4番と言う子が多かったのですが、最近は全員可能性があるよねという認識に変わってきています。お巡りさんの格好をしているから安心ではなく、「表面的な見た目だけで判断してはいけない」と子どもたちも分かってきています。(舟生先生)
また、子どもを誘う手口を知ることも大切です。「駅までの道を教えて」と助けを求められたり、「お母さんが事故にあった」など緊急事態をよそおったりすることもあります。
とは言えもちろん挨拶は大切です。「こんにちは」「おかえり」などと言われたらきちんと挨拶はしてほしい。では、どこで線引きをするか?と言うと、「ついておいで」と言われたらはっきりと断る、絶対に車には乗らない、困ったら「大人の人に聞いてください」と助けを求めるなどのことを確認しましょう。(舟生先生)
保護者が心がけることとしては、いつもの遊び場や仲の良い友達の連絡先などを分かっておくなど、子どもの日頃の行動や友人関係を把握しておくことが危険を回避するポイントになります。子どもたちの関わる環境にもっと興味を持ちたいですね。
3)インターネット・SNS利用の注意点
近年、小学生では半数近く、高校生にもなるとほぼ全員がスマホを持っており、誰もがインターネットを利用しているような時代。
家の固定電話と違い、スマートフォンとなると子どもが誰と話しているのか、誰と連絡をとっているのかを親が把握できなくなってしまいます。
いわゆる”こども携帯”でも、設定を変えてしまえば有害なサイトにアクセスできてしまうこともあります。詐欺などを目的としたサイトに不本意に子どもが名前や住所を書き込んでしまう、写真を出してしまうことなどもあります。
私たちが考えなくてはいけないのはネット社会の怖さです。相手の顔をみて、声を聞いて話をした場合には「相手に嫌な思いをさせたかもしれない」と判断もできます。それが「文字だけのコミュニケーション」だと伝わらないこともあるということを理解することも大切ですね。 また、匿名で名前を言わずに書き込むこともできてしまうので、知らずに加害者・被害者にもなることもあります。(舟生先生)
SNSとは「社会的な繋がりを求めている人たちの集まり」のことを指します。
手軽にコミュニケーションが取れるというのはいいところですが「なんのためにSNSを利用するのか?」を考える必要がありますよね。
最近では、SNS等に起因する被害として、児童売春や児童ポルノなどの被害が増えてきているそうです。ツイッター(現X)やインスタグラムなどアプリがきっかけのことが多い。
「写真を載せることは、世界中の人が見れること」
「匿名だからといい加減なことをしない」
名前を書いていないのに個人を特定されることも大いにあります。
悪ふざけで書いた書き込みであっても、インターネットに繋げるISP経由で誰が書いたのかを特定することもできます。
そのためにも「パスワードの管理をする、余計な個人情報を出さない、パスワードのない フリーWi-Fiには入らないなど」セキュリティのポイントもご家庭でしっかりルールを決めましょう。
個人情報を流出した際の危険性などを、お子さんたちと話しておくといいですね。
そして、ネットいじめや課金トラブルも、おかしいな、まずいなと思ったらすぐに第三者に相談するようにしましょう。「じぶん一人で解決しようとしない」ということがポイントです。(舟生先生)
スマートフォンを購入する際、親子で使い方のルールを決め、約束をしておくということが、事件を防いでくれる鍵になるのだと言います。
4)子どもの危険回避能力を高めるために
忙しくても手を止めて話を聞き、信頼関係を築いておくことが大切です。(舟生先生)
ここを力強くお話くださいました。
「家庭のルールをしっかり決めましょう。親が勝手に決めずに、自分で考えさせる、理解するまで納得するまで話すことが大切です」(舟生先生)
コミュニケーションをとる一つとして、学校や家のまわりを一緒に歩いて安全マップの作成をするのもおすすめだそうです。
「ネット社会である」ということは、もう無視しては生きていけないですよね。子どもたちにとって必要な知識とスキルなので、親子で一緒に学び、一緒に相談しながら使っていくことが重要です。インターネットの危険性を理解した上で安全に使用して、安心して社会生活を送りましょう。(舟生先生)
最後は質疑応答の時間を経て終了となりました。
参加者の中から出た質問をいくつかご紹介します。
Q:小学3年生の子どもがいます。保育園のころは親が送迎していましたが、1年生になり一人で登下校になりました。色々な場面で気をつける必要があるかと思いますが、小学生の犯罪が多い場所(登下校時、商業施設、家…)は何になりますでしょうか?また家庭で気をつけることはありますか?
Q:未就学児の子どもがいます。子どもにスマホやケータイを与える時期に悩んでいます。 どのくらいの年齢からがいいなどありますでしょうか。
その他、舟生先生が「子ども安全ブログ」にて子どもを持つ家庭で不安に思うこと(防犯だけではなく防災や事故予防、熱中症やインフルエンザなど)の情報と対策を日々紹介してくれています。ぜひご覧ください。
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●子ども安全ブログ
https://www.secom.co.jp/kodomo/d/10000416.html
最後に(ライターまとめ)
子どもが小学生になり、PCも一人一台学校から普及される時代。また、高学年にもなると 自分用に携帯を持つ子も多くなる。学校の保護者会でも「ゲーム課金やネットいじめ」については話題に上がってきています。そんな中、舟生先生が伝えてくださっているように「だからダメだ」ではなく、子どもと一緒に親も考えて自分達が納得できる形やルールについて「話し合い」を続けることが大切なのだなと改めて感じました。
文章:池尻浩子