2023.11.17

こまもり通信vol.1「子育て中に欲しい安全・安心な情報を」~こまもりプロジェクト~

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「子育てに関する安全・安心の適切な情報を、保護者に提供したい」という目的から発足した子どもを守る情報の森プロジェクト。通称こまもりプロジェクト。
本当に必要な情報を、必要な人に届けたいという思いから、幾度もアンケート調査を通して準備を重ねてきました。

今回は、主要メンバーでもあるこまもりプロジェクトの発足時リーダーでもある金子健司さん(元株式会社フレーベル館)、活動に賛同し、プロジェクトに関わっていただいている秋草学園短期大学地域保育学科教授、加賀谷崇文 さん、キッズデザイン協議会 理事/研究開発部会 部会長、舟生 岳夫さん(セコム株式会社)にお話を伺いました。 このプロジェクト発足のきっかけから、活動の内容、子育て中の保護者への思いなど是非ご覧ください。

本当にいいモノ・知見を保護者へ届けたい

Q:「こまもりプロジェクト」の活動のきっかけを教えてください。

金子さん:私が所属していたフレーベル館は、「アンパンマン」や「ウォーリーをさがせ!」など子ども向け絵本を出版してるんです。そのノウハウとキッズデザイン協議会の会員企業の知見を元に「子どもの安全・安心を守るような絵本」を作れないかと考えたのが始まりです。

子どもの安全・安心に関するモノを調査すると、書籍や紙芝居など、素晴らしいのにあまり知られていないモノが多くあることが分かりました。
「せっかく良いものがあるのに、世の中に知られていないのはもったいない。研究会として多くの人に伝えるようなプロジェクトにできたら面白いな」との思いから、こまもりプロジェクトはスタートしました。

まずは、保護者の方はどのような情報を必要としているんだろう?そして、その情報をどのように入手して利用しているかをアンケート調査し、それらを体系化してたくさんの保護者の方に紹介する場を作りたいなと考えました。

私自身、キッズデザイン協議会に参加して、普段はお会いできない企業の方や、大学の先生など、子育てや子育てに関する情報の話をさせていただく機会が多くありました。
各企業も子育てのことは発信をしているけれど、なかなか一般の方に伝わっていかないという背景もあり、プロジェクトとして一緒にやってみよう!と始まりました。そこで、秋草学園短期大学の加賀谷先生やセコムの舟生さんにも加わっていただくことになりました。

間違った情報で子育てをしてほしくない

Q:一方的な発信ではなく、リアルな保護者の声を意識されたそうですね。

加賀谷さん:そうなんです。背景としては、保護者の方が情報は仕入れているけれど、情報がありふれていて、インターネットや子育て本など「どの情報を信じていいか分からないのではないか?」「間違った情報を信じて違った子育てをしてしまうことが起きているのではないか?」ということを感じていました。

そこで、2018年以降、0〜6歳までのお子さまを持つ保護者の方を対象に何度かアンケート調査やオンラインの座談会などを行いました。

色々な角度の質問をさせていただきましたが、興味深かったのは、 ”子育てにおける情報はどこから入手しているか”(図①)について。
                  (図①)
回答の大半を占めたのは「ネットで調べる」「知人・経験者に聞く」「TV・雑誌 などを見る」でした。それに続いて「育児雑誌」「育児本」「自治 体からのお知らせ等」が主な情報源ということが分かりました。

・手軽にサクッと探したい時は、「ネット」「インスタグラム」
・信頼した情報が欲しいときは「育児本」「市報」
・分かりやすい経験者の声としては「ママ友」
・怪我や病気の時の情報源は、「かかりつけ医」「園の先生」「市の子育て支援センタ ー」
・トラブル・犯罪被害など不安を感じた時は、「知人・経験者に聞く」、「ネットで調べる」、 「専門家に聞く」

というような傾向も分かりました。
最終的には、「自分に合ったも の」「自分でできるもの」「子どもに合ったもの」といった自分で判断する方が多かったですね。

情報に対して7割以上の方が不安や不満

Q:アンケート調査から見えてきた課題はどのようなものだったのですか?

加賀谷さん:情報は皆さん色々なルートで入手されているのですが、その情報に対しての満足度の統計をとったところ、
<満足>が 23.2%、<不安>が 67.1%、<不満>が 9.8%で、7 割 以上の人が情報に対して「不安」や「不満」を感じていることが分かりました。
「不安」や「不満」の理由としては、結果的に自分の子ども にその情報が当てはまらなかったという回答が多く見られました。

そして、今後「情報を、どのように得られれば良いか?」(図②)の問いに対して、「専門家」「コミュニティ」の情報がほしい と希望される方が多く、「専門家」については、サイトやアプリを通して、時間の制約を受けず直接会わずに相談したいという思いや、「信頼性」「簡易性」「検索性」「無料」「リアルタイム」 「ワンウェイ」「情報の集約」などの条件を求めていることも分かりました。
保護者の年齢によっても希望する情報源が違っているため、 世代に合わせて情報提供ツールを変えていく必要性も、このアンケートを通じて感じました。
                  (図②)   
また、誰にでも当てはまるような情報にすると、当たり障りのない情報になりますし、情報を尖らせると、当てはまらないお子様が多くなる。全てのお子様に活用できる情報というのはとても難しいことなんです。子育ては「ケース バイ ケース」。まずは、保護者の方が子どもの状況を理解したり、親子のコミュニケーションがある上で、情報を見極めていくことも大切になりますよね。

子育て情報に困ったら、まずココに

Q:こまもりプロジェクトの今後の展望を教えてください。

舟生さん:世の中の情報もコロコロ変わる中で、子育てに関する情報も保護者の方が日々困惑しているのではないかと感じています。

私たちは、調査結果を集めながら、広く多くの人に子育てに役立つ情報を伝えられる場を作り出したいということが最終的な目標です。

専門家の意見が参考になるという意見もあったので、専門家へのヒアリング、オンライン対談なども検討していきたいですね。

また、アンケート調査に答えていただいたり、情報を自分から取りに来る保護者の方は、比較的、情報感度が高い方だと思います。

今後の課題として、情報を取れていなかったり、取りにいっていない人たちにもキチンと情報を伝えていくことが大事だと考えています。そのためには、そういう人たちの情報も収集しながら情報への関心へも促していきたいというのも目標です。


〜最後に〜 プロジェクトの現リーダーの福田綾(ミサワホーム株式会社)さんからも今後の展望をお聞きしました。(今後福田さんからも詳しくお話を伺う予定です。お楽しみに!)

福田:今後は、発信にも力を入れていきたいと思っています。
キッズデザインマガジンを通してこまもりプロジェクトの活動や参加企業の子育て情報などを発信していきたいですね。 実際に「こんな情報や活動があったら嬉しい」というお声などあればぜひお寄せください。
【メール送付先】komamori@kidsdesign.jp

編集後記:
まさにたくさんの情報がありふれている中で、「この通り自分の子どもに当てはめていいの?」「ネットに書いてあることを試してみたけど、いい方向に進まなかった」という保護者の方も多いのではないでしょうか?
年齢や性別、お子様自身の性格、性質、体質によっても悩みも様々だと思います。私は、子育てをしていく中では「知人」や「親」に相談することが多かったですが、困ったらここにいけば、何かしら参考になる、勉強になる、しかも信頼できるという情報のプラットフォームは、たくさんの保護者の方の救いに繋がるのでは!と感じました。

文章:池尻浩子
キッズデザイン賞マーク