2026.1.6

経営者による意見交換会【受賞者による講演】
ビーサイズ株式会社 八木啓太氏

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事例紹介
「子どもには自由を、親には安心を」
〜 管理や監視ではない見守りを形に〜


第19回キッズデザイン賞 経済産業大臣賞受賞
ビーサイズ学株式会社 代表取締役 八木啓太氏 講演レポート



第19回キッズデザイン賞を受賞した子ども見守りGPS 『BoTトーク(シリーズ第5世代)』。その開発背景について、Bsize株式会社代表取締役の八木 啓太 氏にお話いただきました。


八木氏は、受賞を「一つの到達点であり、同時にこれからの問いの始まり」と位置づけ、ものづくりの原点から現在に至るまでの歩みを振り返りました。

「最初は、ただ自分が納得できるものをつくりたかっただけでした。」

そう語り始めた八木氏。現在、子ども見守りGPS「BoT」シリーズは、国内の子ども見守りGPS市場でトップシェアを誇ります。その原点は、文字通り“ひとり”から始まったものづくりでした。



八木氏は大阪大学大学院で電子工学を修了後、富士フイルム株式会社に入社。医療機器の機械設計エンジニアとして、レントゲン装置やエコー機器など、人の命を支える製品開発に携わってきました。当時を振り返り、「やりがいは大きかった」としながらも、「自分の手で、最後まで責任を持ってものづくりをしたいという想いが、次第に強くなっていった」と語ります。

転機となったのは、医療用途としては採用されなかったものの、非常に質の高い光を放つLEDチップとの出会いでした。「この光で、自分だったら何をつくるだろう」と考え、自宅で試作したのがデスクライトだったといいます。完成した試作品に確かな手応えを感じた八木氏は、「今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることを本当にやりたいだろうか?」というスティーブ・ジョブズの言葉を自らに問いかけ、2011年に独立を決意しました。

設計から調達、組み立てまでを一人で行い、100台からスタートしたLEDデスクライトは、「世界で最も自然光に近い光」を実現。個人開発とは思えない品質と思想が評価され、国内外のデザイン賞を多数受賞。「一人メーカー」として注目を集める存在となりました。

続いて開発したのが、スギの間伐材を加熱圧縮して作ったワイヤレス充電器です。環境課題と家電の在り方を見つめ直し、「充電を意識しない生活」をコンセプトに、家具や空間に溶け込むプロダクトを形にしました。

大きな転機として八木氏が挙げたのが、2015年の子どもの誕生です。「子どもには自由に冒険してほしい。でも、親としての不安もある」。その葛藤から生まれたのが、今回キッズデザイン賞を受賞した子ども見守りGPS「BoT」シリーズでした。

2017年にリリースされた「BoTトーク」は、GPSやAI、各種センサーを活用し、子どもの行動を常時見守りながら、必要なときだけ音声でつながれる仕組みを実現しています。
八木氏は「管理や監視ではなく、子どもの自由と親の安心を両立したかった」と強調し、次のように続けます。

「自分の子ども時代を振り返ると、自転車で隣町まで遊びに行くなど、ある程度自由にチャレンジできたけれど、昨今は子どものおかれる環境が変わり、冒険すること自体が難しくなっている。そこで私たちは、GPSとAIが子どもを見守ることで、冒険する機会を与えたい。そして何よりも、子どもがいざ冒険したときに、普段の行動範囲から離れると保護者に通知がいき、トークを使ってコミュニケーションをとれるできることで、双方に安心を届けたい。それによって安全な道に回帰していくことで、子どもの自由で活動な行動そのものを提供したい」と話します。

この思想は多くの共感を集め、現在では国内トップシェアを獲得。さらにアメリカ市場にも進出し、ミニマルな安心を提供するサービスとして高い評価を得ています。

八木様、貴重なお話をありがとうございました。

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ビーサイズ株式会社HP
BoTトーク(シリーズ第5世代)受賞作品ページ
キッズデザイン賞マーク
文章:池尻 浩子