2021.11.11

ヒヤリ・ハット体験 ~身近に潜む子どもの誤飲とは?

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現在、僕の妻は第2子を妊娠中なので、これまで以上に上の子と過ごす時間を大切にしつつ家事や子育てを日々楽しみながら頑張っています。生まれてくるまでの間にできることはないかなぁと思いながら、家の中を見渡してみると、上の子を育てていた時は「転んで机の角に頭をぶつけないように」「落ちているものに躓いて転ばないように」「●●しないように」と僕と妻二人で色々気にかけていたことが思いだされました。上の子が人形遊びの小物やビーズで遊んでいる姿を見ると、「誤飲」が頭をよぎります。そういえば、ハイハイしている時期に、色んなものを手に握りしめ口にいれようとする姿に、思わず大声を出しながら慌てて駈け寄ったりしていたなぁ……
そこで、誤飲を防ぐために、まずは子どもと一緒にお片付けの練習をしています。

また、普段なら、地域の防災館が開くパパママ教室で誤飲時の応急手当を学ぶことができるのですが、コロナ禍のため開催されず…。上の子のときに習いましたが、年齢が離れているのでもしものときの対処にも自信がなく、今は動画でなんとか学んでいるところです。

誤飲の危険性を感じたことのある保護者の方は、多いのではないでしょうか。

東京都生活文化局消費生活部は、令和3年1月に「誤飲等による乳幼児の危険」の調査を行っており、調査のポイントについて、東京都の担当者にお話を伺いました。

誤飲のヒヤリ・ハットがもっとも多かったものは…

自宅の室内を見渡してみると、おもちゃやビーズ、ビー玉、えんぴつのキャップ、スマートフォンの充電器などを誤飲してしまいそうに思います。

そんな中、今回の調査で誤飲のヒヤリ・ハットがもっとも多いとわかったものは、「シール」でした。たしかに家のなかには、さまざまなところにシールがあることに気づきます。

調査では、以下のような回答が集まっていました。

「貼ってはがせるシールに食べ物のイラストが描いてあり、食いしん坊の娘が食べてしまった」(1歳・女児) 「ペットボトルが好きでよく噛んで遊んでいた。ラベルは外して遊ばせていたが、蓋にシールが付いていることは気付かず、遊ばせていたら口の中にシールが入っていた。飲み込む前に気がついて良かった」(0歳・男児)

そのほか誤飲の事例として挙がったものは、紙、飴、シャボン玉液、パン、ビー玉と続きます。

例えば紙は、さまざまなシーンに誤飲のリスクが隠れているようです。

「上の子がお絵かきをしていて、落としていたページに気づかずいたら、取られて飲んでいた」(女児・0歳)
「眼を離した隙にティッシュを食べていた」(女児・0歳)


「アンケートでは、誤飲したりしそうになったものとして、シールなどの玩具や紙などの家庭用品だけではなく、食品なども多く挙がりました。飴を詰まらせてしまったり、パンを大きな塊でそのまま口に入れ、喉に詰まらせてしまったりなどの回答がありました」(東京都の担当者)

行動範囲が広がるときに、予想外の誤飲が起きることも

生後6カ月頃からハイハイをし始める赤ちゃんは、いろんなものを口に入れてしまいます。誤飲が最も多く報告された年齢は、1歳でした。歩けるようになって行動範囲が広がったり、ものへの興味が深まったりする様子が、アンケートの回答から窺えます。

「届かないと思い机の上に置いてあり、たまたま床にあった本を台にしてたばこを手にした。ただ、口に入れる前に気が付いた」(1歳・男児)

保護者が予想していないような動きで、誤飲の恐れがあるものを手にしてしまう危険性があるようです。

「乳幼児の口の中に入る大きさの目安は直径約4cm、これはトイレットペーパーの芯の直径とほぼ同じです。これより小さいものは、口の中に入れたり、飲み込む危険性があります」(東京都の担当者)

みなさんがしている誤飲対策は?

みなさんはどんな対策をしているのでしょうか。
調査によれば、90.8%の方が「危険なものを置かない・片づける」を実践していました。

しかし、誤飲のリスクがあるものをどんなに遠ざけていても、暮らしで日常的に使う紙やティッシュを、一瞬目を離した隙に誤飲してしまう恐れもあります。
そのほかには、「子供から目を離さない・一人にしない」(6.6%)、「安全な環境を作る・安全に配慮された製品を使う」(6.4%)、「危ないものや行動を子供に伝える」(6.3%)などの工夫をしている方々がいました。

誤飲してしまったときの対処法を知っていますか?

工夫をして誤飲を未然に防ぐことは最も重要ですが、もしものときに備えて、応急処置の方法を知っておくことも大切でしょう。
しかし、保護者の半分はアンケートで「知らない」と回答していました。

誤飲してしまったものの種類によって、対処は異なります。
誤飲をしないための工夫と合わせて、いざというときにも冷静に対処できるよう、ぜひこの機会に押さえておいてみてください。

「のどにものが詰まったときは、背中を叩いたり胸を圧迫するなどして、とにかく吐き出させます。反応がある場合、背部叩打法などの方法を行いましょう。反応がない場合、ためらわず119番に連絡してください。また、誤飲してしまったもので、対応がわからないときは、かかりつけ医や東京消防庁救急相談センター#7119などに相談しましょう」(東京都の担当者)

誤飲を防ぐには地道な工夫が必要で、万が一のときには適切な応急処置や、救急車を呼ぶなどの対応が必要になることもあるでしょう。まずは、誤飲を防ぐための対策や応急処置の方法などを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

【調査の概要】
令和2年度ヒヤリ・ハット調査「誤飲等による乳幼児の危険」

【URL】
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/hiyarihat/infant_goinr2.html

【調査対象】
就学前の乳幼児を持つ20歳以上の保護者で、東京都にお住まいの3,000人

【調査時期】
令和3年1月

【調査内容】
10品目の製品・食品について乳幼児の誤飲等及びヒヤリ・ハット経験の有無、危害・危険の程度、具体的な内容、年齢・性別、誤飲等を防ぐために気をつけていることや工夫、誤飲等をした時の応急処置の方法など

<ご紹介:誤飲対策に関連したキッズデザイン賞受賞作品>
●誤飲を防ぐこまもり袋
https://kidsdesignaward.jp/search/detail_190474
●誤飲防止パッケージ(コイン形リチウム一次電池)
https://kidsdesignaward.jp/search/detail_180382
● 誤飲防止ルーラー
https://kidsdesignaward.jp/search/detail_170918

キッズデザイン賞マーク
文章:遠藤 光太