2025.10.1

【こどもOS研究会】日本建築学会学術講演会九州大会で「こどもOS発想法」の発表を行いました

  • はたなブックアカウント
  • LINEアカウント

キッズデザイン協議会の調査研究事業として活動している「こどもOS研究会」は、2025年9月12日(金)に九州大学で開催された日本建築学会学術講演会において、「こどもOSランゲージを活用したアイデア発想法とセミラチス構造に関する考察」と題する研究発表を行いました。

******************************************************************
日時:2025年9月12日(金)10:45-
会場:九州大学伊都キャンパス 福岡県福岡市西区元岡744番地 イースト1号館A117-2室
参加者:川本(発表者)、中村さん・河崎さん・阿品さん(共同発表者)、佐藤さん
******************************************************************


テーマの意図は、「どうすれば大人も子どものように自由で面白いアイデアを生み出せるのだろうか?」という、創造性の秘密に迫るものです!

1. なぜ大人のアイデアは「行き詰まる」のか?

私たちは、何か新しいアイデアを考えようとするとき、無意識のうちに「これは空間のアイデア」「これは製品のアイデア」と、思考に厳格な「枠組み(階層構造)」をはめてしまいがちです。これが、アイデアの「広がり」を止めてしまう原因です。

この問題解決のヒントは、子どもの遊びにありました!

2. 「セミラチス構造」って何?


子どもの遊びを観察すると、その自由奔放さが際立っています。

ゆらゆらと揺れる「アンバランス」な遊具で遊び始めたかと思えば、すぐに「登らせるかたち」で木登りを始め、いつの間にか「見立て」のごっこ遊びに入っている・・・。

遊びは、厳密なルールや階層を持たず、複数の要素が自由に、複雑に絡み合いながら移り変わります。
この構造こそが、建築家アレクサンダーが提唱した「セミラチス構造(非階層的な構造)」です。

3. 「こどもOS」を触媒にして発想をジャンプさせる!


私たちの発想法は、この遊びの構造を大人の思考に取り戻すことを目的としています。

「こどもOSランゲージ」をアイデア発想の“触媒(きっかけ)”として使用する。

OSは階層を持たないので、思考は「遊び」のように自由で非論理的な連鎖を始めます。連想発想法の「行き詰まり」を解消し、「より汎用性が高く、予期せぬアイデア(セレンディピティ)」を生み出しやすくなります。

さらに、OSは誰もが体験した「遊びの記憶」を呼び覚ますため、単なる言葉遊びではなく、「あの時、確かに感じた感覚」に根ざした、本質的で共感しやすいアイデアが生まれやすくなります。

4. まとめ:「創発的な方法論」への進化

本研究は、アレグザンダーの提唱する「パタン・ランゲージ」を受け継ぎながらも、その目的を「空間の設計」から「新しい価値の創発」へと進化させました。

この「こどもOS発想法」は、すでにアイデアソンなどの実践の場で、参加者の創造性を大きく高める効果が実証されています。今後も、子どもの感性と行動から学ぶ知恵を、ビジネスや社会デザインにおける新しいひらめきの源として、広く活用していくことを目指します!


メンバー左から:メンバー左から:阿品さん(株式会社ジャクエツ)、中村さん(キッズデザイン協議会フェロー)、川本さん(公益財団法人大阪産業局)、河﨑さん(積水ハウス株式会社)

こどもOS参加企業:公益財団法人大阪産業局、株式会社ジャクエツ、積水ハウス株式会社、特定非営利活動法人GIS総合研究所、和田デザイン事務所

■こどもOSランゲージを詳しく知りたい方はこちら↓↓
キッズデザインラボ
キッズデザイン賞マーク
文章:川本誓文(公益財団法人大阪産業局)