2026.2.5

≪ワンスレッド≫パパと子どもが一緒に育つ育児グッズのご紹介 ~こまもりプロジェクトvol.11~

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キッズデザイン賞を受賞したワンスレッドのものづくり

育児は、誰か一人ががんばるものではなく、家族みんなで関わっていくもの。そう頭ではわかっていても、実際には「父親はどう関わればいいのかわからない」と感じる場面は少なくありません。キッズデザイン賞を2018年 2019年 2023年と3回受賞しているワンスレッドは、そんな父親の気持ちに寄り添いながら、育児に入りやすくなる道具をつくり続けている会社です。
今回の取材では、ワンスレッドがどのような思いで商品を生み出してきたのか、そしてキッズデザイン賞がその歩みの中でどんな役割を果たしてきたのかを開発者である半田さんにお話を聞きました。

はじまりは「パパバッグ」から

ワンスレッドが初めてキッズデザイン賞を受賞したのは2018年のことです。評価されたのは、「パパバッグ」と呼ばれる育児用のバッグでした。このバッグは、赤ちゃんを直接抱っこするためのものではありません。おむつや着替えなど、育児に必要なものをしっかり収納できて、片手で赤ちゃんを抱っこするときの負担を少し軽くしてくれる、そんな役割を持っています。
見た目は、いかにも「育児用品」という感じではなく、普段使いのバッグに近いデザインです。そのため、父親が持っても気負わず、日常の中で自然に使える点が評価されました。審査の際には、「これからデザインや種類が広がっていくことを期待したい」という声があり、その後も色や柄のバリエーションを増やすなどをしてきました。

「パパももっと直接、育児に関われる道具を」

パパバッグの開発をきっかけに、「より主体的に育児をするための道具をつくれないか」と、育児の中で一番大切な時間でもある<抱っこ>の在り方について考えました。抱っこするシーンは様々で、しっかり抱っこしたいときや、抱っこ紐をつけるほどではない場面や、少しの時間だけ抱っこしたいときなどもたくさんあります。
そこで生まれたのが、バッグと抱っこの機能を組み合わせた「パパバッグだっこモデル」です。普段はワンショルダーバッグとして使い、子どもが疲れたり、ぐずったりしたときに、さっと抱っこに切り替えられるつくりになっています。
2022年に登場したモデルでは、前かがみになっても子どもが落ちにくい構造が取り入れられ、安全性にも配慮されました。第三者機関による安全認証も受けており、「気軽さ」と「安心」の両方を大切にした商品になっています。

どんどんシンプルになった「濱帯」

2023年にキッズデザイン賞を受賞した商品が、「濱帯」と呼ばれる一枚の布です。長さは約5メートル、幅は34センチほど。とてもシンプルな作りです。
この濱帯は、結び方を変えることで、赤ちゃんを抱っこしたり、おんぶすることができます。素材には、あえて伸びない織物が使われています。伸びる素材は使いやすい反面、長く使ううちに形が変わり、赤ちゃんの姿勢が安定しにくくなることがあります。濱帯は、形が変わりにくい素材を選ぶことで、長く安全に使えるよう工夫されています。
また、かさばらず、小さくたためるのも特徴です。洗いやすく、持ち運びもしやすいので、日常の中で気軽に使えます。実は、日本では昔から、一本の帯で子どもを抱っこする文化がありました。濱帯は、そうした昔の知恵を、今の暮らしに合う形で見直した商品でもあります。

「がんばったもの」より伝わったもの

取材を通して印象的だったのは、ワンスレッドの商品が、年々シンプルになっているという話でした。時間や手間をかけて、機能をたくさん詰め込んだものほど価値があるように感じてしまいがちですが、実際に評価されたのは、余計なものをそぎ落とした商品でした。
使い方がわかりやすく、説明を読まなくても直感的に使える。そんな道具の方が、日々の育児の中では頼りになります。キッズデザイン賞は、「本当に必要なものは何か」を考え直すきっかけにもなってきたそうです。

父親が育児に入る“きっかけ”をつくる

ワンスレッドさんが大切にしているのは、「父親が育児に入るきっかけをつくること」です。妊娠中、父親は体の変化を経験しないため、どうしても実感がわきにくいことがあります。でも、子どもが生まれて抱っこをすることで、その距離はぐっと縮まります。
抱っこは、短い時間でも子どもとのつながりを感じられる大切な時間です。繰り返すうちに、子どもへの愛着が深まり、育児が少しずつ「自分ごと」になっていきます。ワンスレッドの商品は、その最初の一歩を後押しする存在です。

あえて「パパ向け」と伝える理由

ワンスレッドの商品は、決して男性だけのためのものではありません。それでも「パパ向け」と伝えているのは、育児に入りづらさを感じている父親が多いからです。
世の中には、ママ向けや家族向けの育児用品がたくさんあります。その中で、「これは自分のためのものだ」と思える入口を用意することで、父親が育児に関わるきっかけをつくりたいと考えています。

キッズデザイン賞とともに歩んできた道

ワンスレッドにとってキッズデザイン賞は、実績というよりも、進む方向を確かめるための存在でした。社会の目線で評価されることで、「この考え方でいいんだ」と背中を押されることもあれば、「もっとシンプルでいい」という気づきを得ることもありました。
昔ながらの知恵を大切にしながら、今の暮らしに合う形へとつくり直す。その積み重ねが、ワンスレッドのものづくりです。父親と子ども、そして家族の関係が、少しずつ、やさしく変わっていく。そんな未来を思い描きながら、ワンスレッドはこれからも道具をつくり続けていきます。

お話を聞いて

製品を開発・販売される中で、さまざまな方との対話を重ねながら、多様な立場の困りごとにアンテナを張り、次のテーマへとつなげていく姿勢がとても印象的でした。 これからも、育児に寄り添う新しいグッズが生まれていくことを楽しみにしています。
(コンビウィズ株式会社 森口 優子)

私が特に印象に残ったのは、子育てをする親の気持ちに深く寄り添っている姿勢です。
私自身、独身で子育ての経験はありませんが、ワンスレッドさんの製品は素材選びから持ち運びやすさ、使いやすさまで丁寧に工夫されており、「日常の子育ての中でどう使われるのか」が自然とイメージできました。ユーザーのリアルな生活を思い浮かべながら設計されていることが強く伝わってきました。
(セコム株式会社 櫻井 亜美)

企業の社員が育休を検討している時に、企業がこのようなパパ育支援グッズを提供してくれると、社員がより育休を取りやすい雰囲気になるのではないかと思いました。
(こまもりプロジェクトメンバー 金子 健司)

左から:加賀谷先生(秋草学園短期大学)・森口さん(コンビウィズ)・半田様(ワンスレッド)・舟生さん(セコム)・桑原先生(秋草学園短期大学)・櫻井さん(セコム)

取材先:株式会社ワンスレッド

株式会社ワンスレッド HPはこちら
濱帯を使った抱っこおんぶの方法
番外編で濱帯で子どもや大人を背負う方法
抱っこもできる「パパバッグだっこモデル+SG」

キッズデザイン賞マーク
文章:吉岡 麻衣