2021.12.23
ヒヤリ・ハット体験~年末年始の子どもたちに起こる危険とは?
2021年は妻の妊娠によって、家事や上の子の学校のことなどに関わる時間が多く、気が付けばもう12月!年末年始が近づいてきました。あっという間の1年でした。
年末年始といえば、クリスマスや冬休み、お正月、普段とはちょっと違った特別な生活を過ごされる方もいるかと思います。みなさんはどのように過ごしますか?
筆者も、今年は子どもと一緒に実家に行く予定があります。子どもも久しぶりにおじいちゃん・おばあちゃんと会えるのを今から楽しみにしていて「早くいきたいね!」「おじいちゃんの家にいったら、〇〇をして、〇〇をして・・・」と一緒にやりたいことを話しています。
楽しい日が来るのを心待ちにしている一方で、実は年末年始ならではのイベントにも、普段の生活ではないからこそ潜んでいる危険があることをご存じですか?
前回の記事では、子どもの誤飲についてデータとともにご紹介しましたが、今回は年末年始に増える事故や「ヒヤリ・ハット」について、東京都生活文化局消費生活部が平成24年2月に行なった「年末年始の生活に潜むヒヤリ・ハット調査」をもとにご紹介します。特に、子どもたちの安心・安全に関わることがらを中心にお伝えしたいと思います。
事前にチェックしておくことで、事故を未然に防ぐようにしましょう。
慣れない場所での暖房器具に要注意
暖房器具を使っていて、怪我をしそうになってヒヤリとした、怪我または引火・発火・発煙した経験がある人は、全体の20.4%でした。5人に1人が、暖房器具による危険を経験していることを考えると、やはり十分に気を付ける必要がありそうです。
特に、帰省先などの慣れない場所では、子どもたちが誤ってストーブに触ってしまったり、引火する危険のあるものを近くに置いてしまう危険性が考えられます。
ヒヤリ・ハット、危害経験が最も多かった暖房器具は、電気ストーブ・ハロゲンヒーターでした。内訳を見ると、「やけど」が最も多く、また「周囲の可燃物へ着火したり、焦げたりした例」を合わせると87件ありました。※1
具体的なシーンについては、下記のような報告がありました。
「電気ストーブの上にカーテンがかかり、気付かずにいたところ煙が出た。防炎加工で良かった。以降、オイルヒーターにした。」(50代・男性)
「電気のファンヒーターを使用している室内(8畳)の少し離れた場所で、衣類に撥水スプレーをしていた。かなり念入りに吹き付けていたら、ヒーターが薬剤を吸い込んだらしく、急に黒煙を吐き出した。」(40代・女性)
例えば、普段はエアコンしか使っていない子どもたちが電気ストーブ・ハロゲンヒーターのある場所に帰省した場合、触ってしまったり、無意識に可燃物を近くに置いてしまうなどの危険は、十分に起こりうるでしょう。事前に危険性について伝えておく、近づけないように配置しておく、部屋を分けるなどの対策が必要です。
電気こたつにも注意が必要です。「コード・プラグから発火・発煙」「本体から発火・発煙」といった危険から子どもたちを守るためには、こまめなメンテナンスが必要でしょう。
また、「使用中に眠ってやけど」したという報告もありました。大人はもちろんのこと、子どもたちの行動にも目を配らせておきましょう。
「湯たんぽや電源を使用しないカイロも多くの事例が寄せられました。比較的温度が低くても長時間にわたって直接皮膚の同じ部位に触れることにより、低温やけどになってしまうケースもあるため、特に注意する必要があります。また布団が温まったら湯たんぽなどの暖房器具は布団から出して、就寝中はカイロを使用しないなど注意しましょう。」※2(東京都の担当者)
楽しいクリスマスにも危険がある
クリスマスにも意外な危険があります。クリスマス関連の製品でヒヤリ・ハット、危害経験のある人の中で※3、多かった製品はろうそく67.5%、クラッカー21.4%でした。
これらの中には、周囲の物に引火、点火時にやけど、そして落下したクラッカーの飾りに着火などの事例がありました。特に乾燥する冬場は、火の扱いに注意が必要です。
「部屋の明かりを消し、ろうそくだけを数本立てて明かり代わりに使用していたのだが、そのうちの1本を猫が倒しカーペットが焦げた。」 (30代・男性)
「子供が自分の顔に向けて(クラッカーの)紐を引っ張ろうとしていた。」(30代・男性)
「クリスマス関連の製品に関する子どもの事例として、ろうそくで『子供が火を消すときに火を近づきすぎ、口を軽く火傷した』、『ツリーのライトの一つを息子(三歳)がかじってしまった』などがありました。子どもは好奇心が旺盛で見慣れない製品に興味を持つことがあるため、普段より注意が必要です。」(東京都の担当者)
年末の恒例、大掃除に潜む危険
最後に、大掃除に潜む危険をご紹介します。掃除中(大掃除に限らず、普段の掃除も含む)にヒヤリ・ハット、危害経験のある人は実に33.7%にものぼりました。
目立つのは、転倒事故です。大人の安全も大事にし、なおかつ大掃除をする際には、周囲に子どもがいないことを確認して取り組むのが良いでしょう。
「椅子に乗って蛍光灯を掃除している最中、バランスを崩して椅子から後向きに転倒して頭を打った。」(60代・男性)
「居間の整理をしている時に、捨てる書類を床に置いていた。その際、紙を踏んでしまい滑って、転びそうになった。」 (40代・男性)
「掃除中のヒヤリ・ハットや危害が起きた場所は、「浴室・洗面所」が最も多く、次いで「居間・その他の居室」、「台所」でした。またその時、ケガをしたり、引火・発火・発煙した危害経験の割合を調べたところ、「台所」が 最も高く、次が「ベランダ・庭・外回り」という結果になりました。※4
この時期、子どもにちょっとした大掃除のお手伝いをお願いすることもあると思いますが、洗剤などの危ないものについてや、大人がイスの上など高い所で作業する際は近づかないなど、きちんと説明しておくことが大切です。」(東京都の担当者)
楽しい思い出を残して新年を迎えましょう
年末年始には楽しみなイベントが控えている子どもたちも多いと思います。しかし、楽しみだからこそ、ワクワクが抑えられずに普段とは違った行動をしてしまう恐れもあります。
大人が身近にあるヒヤリ・ハットを知り、未然に防ぐことで、楽しい思い出を残して新年を迎えてほしいと思います。
【調査の概要】
平成 23 年度ヒヤリ・ハット調査「年末年始の生活等に潜む危険」
【URL】
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/hiyarihat/nenmatsu.html
【調査対象】
東京都に在住する20歳以上の方3,000人
【調査時期】
平成24年2月
【調査内容】
年末年始の生活等に潜む様々な状況下におけるヒヤリ・ハットや危害体験
※1 https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/hiyarihat/documents/nenmatsu_houkokusho.pdf
報告書 PDFページp.32 (6)暖房器具・製品によるヒヤリ・ハット/危害経験時の状況 【電気ストーブ・ハロゲンヒーター】より
※2 https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/hiyarihat/documents/nenmatsu_houkokusho.pdf
報告書 PDFページp.38 (6)暖房器具・製品によるヒヤリ・ハット/危害経験時の状況 【湯たんぽ・カイロ(電源を使用しないもの)】より
※3 https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/hiyarihat/documents/nenmatsu_houkokusho.pdf
報告書 PDFページp.46 (4 クリスマスに多いヒヤリ・ハット及び危害経験について (2)ヒヤリ・ハット/危害経験があるクリスマス関連の製品
※4 https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/hiyarihat/documents/nenmatsu_houkokusho.pdf
報告書 PDFページp.7(4)掃除中にヒヤリ・ハット/危害経験をした場所
p.8 (5)掃除中のヒヤリ・ハット/危害経験の程度