2024.4.1

おもちゃをリサイクルして生まれた腕時計 「YOT WATCH」開発の裏側インタビュー!

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毎日使うものでエコロジーをもっと身近に。
おもちゃをリサイクルして生まれた腕時計「YOT WATCH」

「この時計が生まれた背景を知ることで、近年の地球環境について考えるきっかけになってほしい」
子どもが使い終えたおもちゃだからこそ、再び、子どもが使うものに生まれ変わらせたいという想いから開発された腕時計”YOT WATCH(ヨットウォッチ)”。

今回は、YOT WATCH商品担当者である株式会社三栄コーポレーション 高﨑宣宏 様に製品に対する開発秘話やこだわりを伺いました。

写真:右から三栄コーポレーション 田村 萌乃さん・高﨑 宣宏さん、キッズデザイン協議会 服部・吉岡

時間や環境について教えるきっかけに

Q:YOT WATCH(ヨットウォッチ)の特徴やこだわりなどについて教えてください。

高﨑さん:ブランド名であるYOT WATCHは、英語でおもちゃ”TOY”の文字を反対にひっくり返した”YOT”から名付けました。

おもちゃを卒業して、次のステージへ進む子ども達の役に立てるような商品を作りたいという想いから、使われなくなって廃棄されるはずのおもちゃのプラスチックを再利用して作っている腕時計なんです。

「リサイクルってなあに?」と親子で考えるきっかけになるようなリーフレットを製品に付属するなど、時計の読み方だけでなく、リサイクルや環境に対する取り組みの勉強のきっかけにもなってほしいと開発を進めてきました。

自ずと身の回りがサステナブルに

Q:製品の企画開発のきっかけや理由を教えてください。

高﨑さん:私たち、株式会社三栄コーポレーションは、生活関連用品を専門に取り扱っている商社で、ものづくりを非常に得意としてきました。

また、サステナブル・エシカルをテーマとしたプロジェクト”Our EARTH Project”を推進し自然環境などを思いやる取り組みについても向き合ってきました。

そんな中、YOT WATCHを開発するきっかけとなったのはおもちゃのリサイクルプラスチックを取り扱っていたパートナー企業様の存在でした。
その企業様が使われなくなったおもちゃを回収しプラスチック原料を作っており、その素材を使って私たちの方で、ものづくりからブランド化まで進めてきました。

「お子様に返す」ということをテーマに、プラスチック由来でかつ、お子様が手にとっていただきやすいものなどを試行錯誤してきました。文具なども検討しながら、企業としても、使っていただく方にとっても、サステナブルでいられる「時計」を商品化することになりました。

▲左:リサイクル樹脂を混ぜて作った時計の原料  右:おもちゃのリサイクル樹脂

長く愛用できるたくさんの工夫

Q:製品の企画開発をされていくうえで、どの様なことを工夫されましたか。

高﨑さん:一度購入していただいた方には、長く大切に使っていただきたいからこそ、 構造・設計には工夫をこらしてきました。

日常使いに耐えられる強度、清潔感を保つための工夫、雨や手洗いでの水滴などの生活防水への対応など、リサイクルプラスチックという特性上の課題をクリアしながら、商品として無事デビューすることができました。

ベルトは自分で取り外しも可能なんです。お子様用のベルトの素材は、リサイクルポリエステルを使用しているので、土や汗で汚れても取り外して洗うこともできます。

また、ベルトが古くなったら、ベルトのみの販売もしているので、新しいものに交換して使っていただけます。

ベルトは40mm(男性向け)、32mm(女性向け)、32mm(キッズ)と3種類。
32mmの女性用とキッズのものは、同じ規格で、ベルトの付け替えができるようになっています。

お子様が大人と一緒のものを使いたいという時には、キッズの時計本体はそのままに、ベリベリッと剥がせるお子様向けのマジックテープ式のベルトを、大人向けの32mmベルトに付け替えてご使用いただけるようにもなっています。お子様の成長に合わせて長く大切に使えると喜ばれています。

大人用とキッズはデザインも微妙に違うんです。
お子様用は黄色い長針になっていて、文字盤に数字がふってあります。
大人が時計の読み方を教える中で”長針”という言い方だと、どちらが長い方でどちらが短い方と伝えてもわかりづらいことがありますよね。そんな時に「黄色い方が”3”だと15分だよ」と長針短針が伝わりやすいように工夫しています。

大人向けは日常生活をスマートに、ミニマムなデザインでご使用いただきたいので数字はふっておらず、代わりにデイトの機能が入っています。

▲左:オレンジ(キッズ用)  右:ブルー(大人用)

お子様のファーストウォッチに

Q:YOT WATCHはどんな方に喜ばれていますか?

高﨑さん:時計の読み方を学ぶタイミングの幼稚園〜小学生のファーストウォッチに購入される方が多いです。また、クリスマス前や、新入学のギフトとしてお買い求めいただいています。

お母様とお子様のセットでのご購入が多いのも特徴の1つかもしれません。
商品開発の際、「子ども向けの時計はキャラクターもののアイテムも多く、”シンプルでおしゃれ”だったり、”両親とペアで楽しめる”ものは、市場にはなかなかないのでは」という声が上がり、大人向けも合わせて作りました。

この時計がデビューしたのは、2022年11月。まだコロナなどで、人と人と触れ合うのに制限がありました。おじいちゃん、おばあちゃんと、お子様と、友人や恋人と、「同じ時計をつけることで同じ時間を感じてほしい」という想いも込めて作りました。

”時計”という時間をはかるものが一緒というのは、相手を連想するきっかけにもなります。
そんな、人と人との繋がりを作りたくて、お子様だけではないラインナップになった背景があります。

▲YOT WATCH専用ギフトパッケージ

▲ギフトパッケージにはメッセージを書き込むことも可能です。

次なる、おもちゃから生まれた”〇〇”?

Q:今後、取り組んでいきたいことや、製品に対する想いを聞かせてください。

高﨑さん:今後は、ベルトの種類や素材をよりバリエーションを広げられたらと思っています。デザイン面も、ミニマムでシンプルなものだけでなく遊びがあるものも開発していきたいですね。

また、企業様から「コラボレーションなど取り組みを一緒にしたい」という声を非常に多く いただくので準備も進めています。

YOT WATCHという時計のブランドではあるのですが、TOY をひっくり返して”YOT”が核になるブランドです。リサイクルプラスチックを使って”YOT〇〇”など今後、商品展開ができたら面白いなと思っています!

▲メンズ:10色展開、レディース:7色展開、キッズ:6色展開

●実物を見てみたいという方は全国にお取り扱い店舗もございます。
https://yotwatch.com/pages/shoplist


<編集後記>
時代の流れに左右されないシンプルなデザインのものを、子どもの成長や自身の趣味趣向の変化に合わせてベルトを交換したりしながら、愛着のあるものに育てていける。その考え方だけで、人にも地球にもとても優しくなれるなと感じました。
また、子どもだけでなく、おじいちゃんおばあちゃんや、友人や大切な人と、繋がりを感じられる、存在だけで心温まるような製品。たくさんの方にぜひ届いてほしいです!

キッズデザイン賞マーク
文章:池尻 浩子