2025.7.16
キッズデザインミーティング2025
研究開発部会 活動レポート

2025年6月11日、キッズデザイン協議会の会員企業および団体様と共に多くの業種の方々と交流し、子どもたちの明るい未来を拓き、子どもたちの環境を取り巻く社会がより良いものになるようなオープンイノベーションのきっかけづくりを目指し、キッズデザインミーティングを実施いたしました。
現在活動している5つの研究会のリーダーより2023年度の研究内容及び活動報告、実績などをご報告いただきましたので、その内容をご紹介します。
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●こどもOS研究会 / 川本 誓文氏(公益財団法人大阪産業局)
●こまもりプロジェクト/森口 優子氏(コンビウィズ株式会社)
●インクルーシブ・キッズデザイン プロジェクト/伊藤 淳子氏(LIXIL住宅研究所)
●標準化検討部会・認証事業報告 / 高橋 義則氏
(ユニバーサルデザイン総合研究所 / 標準化検討部会主査 理事 )
● 西日本情報交換会 / 中尾 榛奈氏(NPO法人Deep Pepole)
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研究開発部会紹介 発表者:キッズデザイン協議会 理事 / 研究開発部会長 舟生 岳夫氏 (セコム株式会社)

キッズデザイン協議会は「調査研究事業」「顕彰事業」「広報事業」「認証事業」の4事業を柱として活動しており、異業種・異分野の企業や自治体、連携団体などを合わせて、2025年には会員数は100団体となりました。

その調査研究事業に含まれる研究開発活動では、子どもにとってより良い社会の実現を目的とした活動を行い、「こどもOS研究会」「インクルーシブ・キッズデザイン」「子どもを守る情報の森プロジェクト」「日本子育て学会との共同研究」などの研究会・プロジェクトに取り組んでいます。 加えて、交流企画として情報交換会やSDGsアイデアソン、有識者セミナーなども実施しています。
2007年に開始した「あぶない探偵団」活動では、施設の安全性や利便性向上の視点から多様な専門家たちが各種の施設を調査し、改善提案や発信を行ってきました。 今年度は「キッズデザイン探偵団」として、より広い視点で活動を強化しています。
キッズデザイン協議会の研究開発活動では、会員企業が活動成果を持ち帰り活用できることを重視し、学会発表やイベント登壇、外部発信を積極的に行うことで、協議会活動の活性化と継続を図っていきます。
こどもOS研究会 発表者:公益財団法人大阪産業局 川本誓文氏

活動メンバー:公益財団法人大阪産業局/積水ハウス株式会社/株式会社ジャクエツ/NPO法人GIS総合研究所/和田デザイン事務所/生活空間研究所

これまでキッズデザイン賞(計5回)や人間中心設計推進機構のアワードを受賞しました。
子どもの遊び行動観察から「こどもOSランゲージ」として24の行動特性を言語化し、事故防止にも活用しています。2024年度には、KDAの事故情報データ3万件から5,000件を抽出し、危険度分類やこどもOS由来の事故発生傾向をまとめました。また、岡山県西粟倉村でワークショップを開催し、子どもの遊び行動から「たからもの探し」「まっしぐら」の2つのランゲージを追加。
今後は、こどもOSランゲージを発想ツールとしてまとめた“カード”を使った、企業向けワークショップに注力してまいります。
子どもを守る情報の森プロジェクト(こまもりプロジェクト) 発表者:コンビウィズ株式会社 森口 優子氏

活動メンバー:セコム株式会社/コンビウィズ株式会社/秋草学園短期大学/金子健司
こまもりプロジェクトは、保護者に信頼できる子育て情報や製品・サービスを提供することを目的に2018年にスタートしました。多様な情報源に不安を感じる保護者の声を受け、正確で役立つ情報発信のあり方を探求しています。活動としては、SNS活用の実態調査や座談会、アンケートを実施しています。調査結果として、インスタグラムが主要な情報源である一方、信頼性では書籍や対人情報が上位に関わらず、実際の活用は一部にとどまっているという発見もありました。
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インクルーシブ・キッズデザイン プロジェクト 発表者:LIXIL住宅研究所 伊藤 淳子氏

活動メンバー:ADKマーケティング・ソリューションズ/フレーベル館/東京大学 教育学研究科/LIXIL住宅研究所
インクルーシブキッズデザインプロジェクトは、子どもたちが多様性に出会い、理解し受け入れる力を育む社会づくりを目指し活動しています。
2024年度は月1回の定例会を軸に、取材・発信、ワークショップ、新ツール検討の3つを実施しました。取材では、障害の有無を超えて合唱する 「ホワイトハンドコーラスNIPPON」と、音声認識表示技術「しゃべり描きアプリ」を紹介しました。

ワークショップは25名参加で多様性・公平性を考える内容を展開し好評を得ています。今後はインクルーシブを体験し、理解するためのツール開発も検討中。2025年度も取材、発信、ワークショップを継続予定です。
標準化検討部会 発表者:ユニバーサルデザイン総合研究所 高橋義則氏

2013年に子どもの安全性に関するキッズデザインガイドラインと独自のCSD認証制度を制定しました。2014〜2016年度には経済産業省事業でJIS原案も作成しています。近年はJIS Z8150の国際標準化に向け活動中で、2024年度は改定内容に合わせ提案を修正予定です。CSD認証では4社が登録し更新審査を実施しました。キッズデザイン協議会・認証事業における「標準化事業」では、会員企業間のプロセス共有や製品・サービスの質向上を通じ、社会全体のボトムアップを図ることを目的とし、今後も積極的に推進予定です。
西日本情報交換会 発表者:NPO法人Deep Pepole 中尾 榛奈氏

西日本情報交換会は、コロナ禍を経て活動を再開しました。主に会員企業に向けての「学びの機会づくり」と、非会員に向けて「キッズデザイン広報・啓発」に取り組んでいます。昨年は会員企業であるHONESTIES(オネスティーズ)を訪問し、企業見学と交流会を実施しました。今年3月には子ども向けイベントで受賞作品展示やワークショップを行い、約70名が来場してくださいました。2025年度は奈良おもちゃ美術館の見学会・交流会を計画中です。
その他にも、運営している「キッズデザインSDGsアイデアソン」は5年目を迎え、これまでに117名の学生が参加してくれました。今年のアイデアソンの最終発表は大阪・関西万博会場で行う予定です。


文章:池尻 浩子