2026.3.23
【レポート】東日本情報交換会
「そなエリア東京」へ行ってきました
第19回キッズデザイン賞受賞
“体験する防災拠点”そなエリア東京を紹介
今回の施設のリニューアルでは、子どもや子育て世帯、外国人来館者など、多様な背景を持つ人々が防災を直感的に学べるデザインが追求されています。
あなたならどうする?1階「東京直下72h TOUR」
ツアーは、商業ビルのエレベーターに乗り込んだ瞬間に地震が発生するというシーンから始まります。照明が揺れ、床が震動し、緊急停止した暗いエレベーター内に閉じ込められる演出は、思わず息をのむリアルさ。扉が開くと、停電で薄暗くなった通路が眼前に現れ、非常灯の明かりを頼りに狭い空間を歩き抜けます。
ツアー参加者はタブレットを手に、要所で出題されるクイズに答えながら進むことで、自然と“自分ならどう行動するか”を考える流れが作られています。
さらに進むと、被災した街並みが実物大のジオラマで再現されています。壊れた看板、倒れた家具、余震を模した音響と照明…。映画のセットの中に入り込んだような空間で、外出先や自宅付近で被災した場合の危険箇所を確認しながらルートを選び、避難場所へ移動していきます。こうした臨場感ある体験を通して、どの場所にどんな危険が潜んでいるのか、自助や共助の重要性を実感できる構成です。
避難場所エリアでは、体育館を模した避難所の中で、どのような工夫が必要なのか、避難生活のリアルを知ることができます。
次に、津波避難体験コーナーでは映像やグラフィックを通じて津波の特徴や避難行動のポイントを学び、日本ならではの自然災害への向き合い方を深く知ることができます。
2階・防災学習ゾーン――“多様性の備えとは”
このゾーンの展示には、キッズデザイン賞の評価軸ともなる「多様性への配慮」が色濃く表れています。そなエリア東京のリニューアルプロジェクトは、子ども・共働き家庭・妊娠中の方など、来館者の特性に応じた“必要な備え”を学べるデザインが高く評価され受賞しました。展示物を支えるペットボトルの重しなど、誰もが応用できる現実的な工夫が散りばめられている点も、審査委員から評価されたポイントです。
“日本の災害知識を未来へつなぐ場所として”
「日本は地震が非常に多い国です。その避難・避難生活の中で数え切れない経験と知恵を積み重ねてきました。私たちのしごとは、その知識と経験を“わかりやすく伝え、広く共有すること”にあります。」
管理センター長によれば、そなエリア東京には多くの子どもたちが訪れるだけでなく、海外からの視察も年々増えているといいます。日本の防災に対する意識の高さに感心する面も多く、それに応えるためにも展示のアップデートや発信の強化が欠かせないといいます。
「ここは単なる学習施設ではありません。隣には病院があり、公園内にはヘリポートが整備されています。平時は学びの場として開かれていますが、実際の大規模災害時には、広域支援の拠点として稼働する“実働型の防災施設”でもあるのです。だからこそ、日常から多くの人に訪れてもらうことが、防災を広めることにつながると考えています。」
管理センター長の言葉には、“災害を知ることは、誰かの命を守る力につながる”という確信が込められていました。そなエリア東京は、まさにその架け橋となる場所として存在しています。
2階展示を“もう一つの目玉”に
「そなエリア東京の1階には、災害発生時の状況をリアルに体験できる迫力あるエリアが広がっています。その印象が強いため、どうしても来館者が2階展示を素通りしてしまうことがありました。そこで今回、2階も同じくらい魅力ある「学びの場」となるよう、展示の再構築が進められました。
今回の改修の大きなポイントとなったのが「持ち帰り学習」です。館内で学んで終わりではなく、自宅に帰ってからも学びを深め、家族や友人とシェアできる仕組みをつくることを目指しました。その一つとして導入されたのが、専用アプリです。 そなエリア東京は子どもの来館者が多い施設でもあります。子どもにとって防災を“自分ごと”として考えるのは難しいこともあります。そこでアプリでは、親や祖父母など「誰かのための備え」をイメージしながら学べる仕掛けを取り入れました。自分が誰かを守る立場を想像することで、より能動的に、防災について学びやすくなる狙いがあります。
また、展示の説明パネルも全面的に見直しました。訪れる外国人の方も多いため、専門用語を多用するのではなく、誰にでも分かりやすい表現を意識。さらに、カラフルで親しみやすいポップなデザインを取り入れ、学びに入りやすい空間づくりを行っています。」
2階展示が新たな「学びのハブ」として多くの人に受け取られ、来館後の行動につながることを目指した今回のリニューアル。防災をより身近に、より継続的に考えるための工夫が詰まった空間へと生まれ変わっています。
ご協力いただきましたそなエリア東京の皆様、受賞者でもある日本工営都市空間株式会社様、株式会社丹青社様
誠にありがとうございました。
会員企業ご参加者のみなさま(富士通株式会社・積水ハウス株式会社・セコム株式会社・コンビウィズ株式会社・株式会社フレーベル館・株式会社東栄住宅)

文章:吉岡 麻衣












