2025.1.23
経営者による意見交換会【ラウンドテーブル】
~子どもの主体的な遊び・学び・行動を考える~
経営者による意見交換会【ラウンドテーブル】
~子どもの主体的な遊び・学び・行動を考える~
株式会社日比野設計会長 日比野 拓様
特定非営利活動法人あそび研究会 関 博旨様 中山勇魚様
福井県立恐竜博物館 探究体験課長 宮田 和周様
キッズデザイン協議会理事 高橋義則氏(ファシリテーター)
子どもたちが主体的に取り組む環境作りとは
關:子どものことを信じてあげる、子どもの声を聞く、同じ視点に立って話を聞くというのが第1かなと思います。
中山:子どもも1人の人間として扱う必要があると思っています。子どもをサークルの真ん中に置いて、皆で守ってあげるスタンスだとこどもは失敗することもできない。だからこそ、大人も子どもも1つのサークルの中の参加者であるという意識が大切だと考えています。
宮田:子どもたちは、知的好奇心があるので、大人には気づかない視点があります。
発掘の体験場所でも、大人は「恐竜の化石が本当に出る?」と疑うところ、子どもたちは「化石は出る」と思い込んでいるので、実際に化石をよく見つけるんですよね。
感性でものを見ているからだろうなと思います。だからこそ空間デザインも本物を意識しています。
大人のマインドチェンジの必要性
日比野:建築設計で言うと、クライアント側も一つ一つの怪我を心配する方もいらっしゃる。ただ、その心配を100%取り除くのは難しかったりもします。また、幼稚園や保育園だと園長先生だけ説得しても進まない。現場の先生や保護者の方もいるし、その先の行政の目もある。だから最後は、色々な意味で全員の覚悟が必要になってくるのだと思います。
中山:僕たちは、子どもたちに多少の怪我は必要だと思っています。怪我を一切させないとなると、カッターやハサミも使えず子どもの経験を奪ってしまうことになる。「行政に注意されたくないから」「保護者の方にクレームを言われたくないから」など、大人のための安全管理はやめたい。大人同士で話して、理解し合うことが大切なのではと思います。
宮田:大人が夢中になれないと子どもも夢中にはなれないですよね。そして、子どもたちに何度も挑戦できる環境は大切。その経験を通して「こんな職業に就いてみたい」「こんなことを目指してみたい」というきっかけになると思います。
子どもたちの創造性・感性を育成する
日比野:僕らだけが「子どもたちのため」と思ってデザインをしていると、自己満足になる可能性もある。そういう意味では、キッズデザインもそうですし第三者評価を得て広がっていくことで、それに関わる人たちがもう1個考えるきっかけになれば嬉しいですね。
關:日本人の試行錯誤する考え続ける力が弱まっていることに対して危機感を感じていました。そのためには、大人へのアプローチの前に子どものための環境を作りたいと思い、あそび大学を始めました。ビジネス視点というよりは、「どうにかしたい」という想いが先行で広がってきましたね。
宮田:博物館は、何もしなければ大人だけでなく子どもさえも、展示を見に行くだけの場所で終わってしまう。展示がどのような意図で作られて、どのような視点で並べられているかなど展示に対しての見方が変わるサポートをしていきたい。そうすることで、博物館がもっと多彩で関心高いものだというものに展開できるのではと思います。
今後のビジョンについて
中山:仕事も人生も「つらいことがあっても乗り越えていくぞ」という精神をもつ子どもたちを育てるためには、小学生時代がとても大切だと思っている。
今、子どもたちが伸び伸びと羽ばたく場面がとても少なくなっているので、そういう場面を一つでも増やしていきたい。また、遊びも大人が用意したおままごとで終わって欲しくはない。子どもたちが豊かな体験ができるよう、一緒に作り上げてくださる企業さんやボランティアの方を募集しております!
宮田:実際の現場を見て体験してもらう機会を増やしていけたらと思ってます。子どもたちにとってリアリティは重要です。子どもらしいものではないデザインの中で、どのように子どもたちを魅了していくか?という視点で考えると色々展開できそうだなと思っています。
左より)高橋氏、日比野氏、關氏、中山氏、宮田氏
ご登壇・ご視聴いただき誠にありがとうございました。
文章:池尻 浩子