2025.1.21
広がっていく子育ての輪
〜日本子育て学会レポート〜
「本の利用状況」に関しての研究発表をしました
広がっていく子育ての輪〜日本子育て学会レポート〜
「広がっていく子育ての輪」をテーマに 子育て学会が開催されました。
今年度は会場での対面での開催となり、研究内容をポスターに掲示し、発表や質疑応答を直接行うポスター形式となりました。
キッズデザイン協議会からは、こまもりプロジェクト(子どもを守る情報の森プロジェクト)メンバーがポスター発表に参加しましたのでその様子をレポートします。
「子育てに関する安全・安心の適切な情報を、保護者に提供したい」という目的から発足した子どもを守る情報の森プロジェクト。
こまもりプロジェクトとは
■発表内容について
昨年度の日本子育て学会では、『育児に必要な情報は入手内容により使い分けしており、最新情報が重要視されることからSNSが活用されていることが分かったが、情報の信頼性という点では各自で慎重な判断をしている』と発表したこまもりプロジェクトですが、今年度は未就学児の保護者を対象に「本の利用状況」に関してアンケート調査を行い、研究発表としてまとめました。
<保護者の方へお聞きしたこと>・属性(回答者の年齢、性別、勤務形態、家族構成、回答対象となる子どもの年齢等)
・育児の相談相手(家族、友人)
・本の使用頻度等(頻度、子育て情報閲覧の割合)
・SNSの使用状況等
・育児情報の種類と情報媒体の使用頻度
→育児情報種類:「子どもの成長速度や健康上の不安」「子どものしつけ」「子どもの教育・習い事
」「子育て関連のグッズやサービスの口コミ」「子どものファッション」「子どもの食事」「おでかけ情報」「配偶者や親に対しての不満」
→媒体種類:専門書、雑誌、漫画、SNS
・本の不満点
■アンケート調査からわかったこと
まず、回答者を読書量が多い人と少ない人で分け、分析を行いました。
回答者の年齢、子どもの人数、相談できる友人数について比較したところ、回答者の年齢と相談できる友人数については差が得られませんでしたが、子どもの人数は読書量が多い人の方が有意に多い結果でした。
次に、子育て情報取得の割合を本とSNSで比較したところ、本を読む習慣がある人ほど、子育て情報取得にも本を使いますが、本を読む習慣がない人ほどSNSを使っていることがわかりました。また、読書量の多い人が本の不満点について、信頼性の低さを感じているという意外な結果もありました。
これらの結果から、今後子育て情報を発信していく上で、SNSの正しい利用を考えるべきであり、一方で本を用いた情報発信についても、その利点をもう一度整理していく必要があるという内容を発表してきました。
■2日目シンポジウムにも登壇
舟生さんからはセコム株式会社の子どもと防犯の専門家である立場として、企業が子どもの安全に取り組む意義、ご自身の様々な活動についてご紹介いただきました。森口さんはコンビウイズ株式会社のベビー用品開発におけるお子さま連れの外出支援への取り組みとして、ユーザーのお困りごとをどのように商品開発につなげているか、また社会に役立つ製品を提供し続けるためには、収益性を確保しつつ、赤ちゃん連れでも安心して外出できる環境づくりを支援しているお話をしていただきました。
■参加メンバーの感想
(セコム株式会社 舟生さん)左から一人目
前回はオンラインでしたが、今回はリアル会場でのポスター発表ということで興味を持っていただいた参加者の方といろいろお話ができ、とても充実した学会となりました。
翌日のシンポジウムにも登壇して、企業としての子どもの安全安心への取り組みとキッズデザイン協議会の活動紹介を行いました。その内容についても、午後の未来館の見学に行った際などにいろいろとお声がけいただきこちらも大変勉強になりました。ありがとうございました。
(コンビウイズ株式会社 森口さん)右から二人目
ポスター発表では、研究者の方々や保護者、支援に携わる方々から感想やご意見をいただくことができ、大変参考になりました。また、リアル開催のため様々な立場の
方と直接交流でき、温かみを感じる学会でした。このような交流の機会を通じて、多角的な視点から貴重な知見を得ることができ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
※日本子育て学会とは
日本子育て学会とは、研究者・支援者・保護者が三位一体となって子育てについて考えていこうとする学会です。年に一回の大会では研究発表だけでなく保育園や幼稚園の取り組み、保護者の子育てに対する想いなどもテーマに、様々な企画を行なっています。子育てに興味がある方ならどなたでも参加できます。
HPはこちら
■最後に(キッズデザイン協議会吉岡)
あふれた子育て情報に振り回されないようにしたいと思う反面、情報を必要以上に求めていることに気づかされました。改めて自分が子育てのために購入した本のタイトルを見てみると、自分の子どもへの期待が込められていたり、こうなりたい!という自身の憧れや野望の様な気持ちがわかり、少し恥ずかしくなります。著書にある内容を実践する前に次から次への情報を得てしまっているような気がします。
日本子育て学会のように子育てに関する研究者の皆様と直接お会いできる場は大変貴重で、ほかの発表内容も多岐にわたり、とても興味深く拝見しました。ありがとうございました。